2017年5月13日土曜日

曲がり角を迎える“キャリアの戦略” KDDIとソフトバンクの決算を読み解く

 4月に発表していたドコモに続き、KDDI、ソフトバンクも通期決算が出そろった。2社とも増収増益で、ソフトバンクについては、純利益が1兆円の大台を超えるなど、好調さを維持している。一方で、KDDI、ソフトバンクの2社とも、モバイル事業では、2016年4月に施行された端末販売適正化のガイドラインの影響がボディーブローのように効いているようだ。契約者数を増やし、1人辺りからの収益であるARPUを上げる戦略が、曲がり角を迎えていることがうかがえる。

●MVNOやサブブランドを含めての純増維持に方針を転換

 KDDI、ソフトバンクとも、年間を通して純増を維持した。KDDIはauの契約者数とMVNOの契約数を足した「モバイルID」数が、2602万を突破。ソフトバンクも、スマートフォンやタブレットなどの「主要回線」に絞った契約者数が3240万を超え、年間で36万の純増を記録した。「累積ユーザー数は、着実ではあるが、安定的に伸びている」というのが、ソフトバンクグループの孫正義社長の見方だ。

 一方で、純増数の"内訳"を見ると、かつてのように、右肩上がりの成長にはブレーキがかかっていることが分かる。KDDIは、モバイルID数は増加を維持できたが、auの減少分をMVNOの増加分がカバーした格好だ。傘下のUQ mobileが端末や料金プランを整備し、本格展開を開始したことに加え、ドコモのネットワークでMVNO事業を行うビッグローブを買収したことで、MVNO契約数は2016年の6月の16.3万から、2017年3月には87.4万に急増している。

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