2018年7月2日月曜日

"ほんの少しの差"を重ねるメルカリの狂気

6月19日、東証マザーズに上場したメルカリ。時価総額は初日の終値ベースで7100億円を超えた。2013年7月のサービス開始からわずか5年。なぜメルカリだけが突き抜けたのか。山田進太郎CEOを追いかけてきた井上理氏は、その理由として「3つのこだわり」を指摘する。前編に続き、後編では「資本政策へのこだわり」と「細部へのこだわり」について紹介する――。(後編、全2回)
■「ノールック5000万円」の出資が決まった日
自己資金の3000万円を投じて起業した山田は、創業から3カ月半後の2013年5月中旬に早くも最初の資金調達をした。出資したのはエンジェル投資家として活躍している松山太河。かつて2000年前後のネットバブル時代、渋谷を起点に「ビットバレー」と呼ばれたムーブメントの中心にいた人物としても知られる
5月のある日、旧知の2人は久しぶりに会い、山田は東京・六本木の街を歩きながらメルカリの構想を話していた。六本木の交差点に差し掛かった時、松山が「5000万円くらいなら、出すよ。どのくらいの条件がいい?」と切り出した。
アプリもサービスも開発の途上で、まだ存在しない。だから山田はこの日、資金調達の話をするつもりはなかったが、突然のオファーに「バリエーションは7億円くらいですかね」と答えた。バリエーションとは出資時の企業価値であり、3000万円で作った会社がいきなり約23倍の7億円という価値になった、ということを意味する。

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