華為技術や小米科技など、中国勢が急速に台頭してきた世界のスマートフォン市場。そのあおりを受け、ソニーは今年度、販売台数の大幅な下方修正を余儀なくされた。欧州最大の国際家電見本市「IFA2014」の会場で、平井一夫社長兼最高経営責任者(CEO)が語った、スマホ事業の見通しとは。
──第一四半期の業績発表時に、スマホ事業の計画を下方修正した。IFAで発表した新機種「Xperia(エクスペリア)Z3」の発売で、修正計画の達成はできるのか。
ソニーモバイルは、今年度はブレイクイーブン(事業の損益がゼロ)という発表をした。
「Z3」の発売はすでに織り込み済みだった。4月に、今年度の大体の予測ということで販売台数を発表したが、現実的には数字がダイナミックに動く。そのため、260億円(の黒字)を下方修正したほうがいいだろうとなった。
──ソニーとして、今後どうシェアを広げていくのか。
まずは、利益体質をつくるオペレーションを現場にお願いしている。マーケットシェアをとってなんぼという議論も一方ではあるかもしれないが、そこに足を踏み込み過ぎて、事業が赤字になってしまってはしょうがない。
中国勢と戦うというより、ソニーが持っている技術的な強み、ソニーらしさを提供することが大事だ。
──スマホ事業には、足元で営業権の減損リスクもある。投資判断として果たしてどうだったのか。モバイルの人事刷新は考えていないのか。
まず人事の話だが、過去を振り返ってみると、入れ替えが激しすぎると思っている。
同じポリシーを持って、(職務を)全うしてもらうのが大事だ。モバイルは今、鈴木国正がトップだが、最後までがんばってほしい。
スマホについては、アグレッシブな数字(5000万台)で発表したが、当初からこれはどうなんだという声も確かにあった。
だからこそ、ダメだと思ったら、すぐに方向転換すると言って来た。今後どう戦略を変えていけるかにかかっている。一回決めたら絶対にこれでやるというのは、商品企画の話だ。経営は違う。
減損は、減損のリスクがあるということを(業績発表時に)伝えただけで、今後のことは「イフ」の話になってしまう。
──モバイルの販売台数を下方修正したことに伴って、国・地域ごとの戦略も見直しが必要になった。見直しはどういった基本方針のもとで実施しているのか。
今まさしくモバイルの中で、進めている話でここでは控えたい。ただ、商品のラインアップ、固定費の持ち方、マーケティング、地域展開をはじめ、ゼロから見直すことにしている。これはいじらないというのはない。
(「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)
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