2013年10月7日月曜日

ウェアラブルコンピュータは普及するか

 眼鏡や腕時計のように身にまとうコンピュータの開発競争が、ここにきて世界のIT大手の間で活発化している。現在、急速に普及しているスマートフォンに次ぐ新たな携帯情報端末としての期待が大きく膨らみつつある。

 まず実用化されつつあるのが腕時計型だ。韓国サムスン電子が9月25日、世界58カ国で「Galaxy Gear」と名付けた新製品を発売し、注目を集めた。同社のスマートフォンと接続して使う形で、通話やメール表示、写真撮影などスマートフォンの基本的な機能を装備。音声を認識して多くの操作を行えるようにしている。

 腕時計型では米Appleも「iWatch」の商標を登録して開発中だとされる。来年にも発売される見通しだが、iPhoneを生み出した同社の次の一手だけに高い関心を集めている。

 サムスンとAppleは現在、世界のスマートフォン市場でも激しい競争を繰り広げており、今回はひとまずサムスンが先行した格好となったが、今後の腕時計型端末の市場は両社が中心となって形成されていくとみられる。

 一方、眼鏡型で注目されているのは、米Googleが開発中の「Google Glass」だ。利用者の音声を認識し、ネットを検索したり内蔵のカメラで写真撮影も可能だとか。検索画面など必要な情報は眼前に映し出される仕組みだとされる。こちらも来年にも発売される見通しだ。

 最近ではこれら3社の動きが目立っているが、本格的な開発競争に向けて日本企業もさまざまなアプローチを始めている。そんな中から、先週、千葉・幕張メッセで開催された最先端IT・エレクトロニクス総合展「CEATEC JAPAN 2013」でウェアラブルコンピュータ関連の展示・実演がいくつかあると聞き、出かけてみた。

 眼鏡型や腕時計型そのものの出展は少なかったが、日本企業のお家芸らしいところを感じたのは電子部品メーカーの出展だった。ウェアラブル端末はスマートフォンなどよりも小型・軽量で低消費電力な部品が求められることから、有力メーカーが自社の得意技を駆使したさまざまな対応部品をアピールしていた。それらについては、既に数多く掲載されている同展示会のレポート記事をご覧いただくとして、ここでは眼鏡型と腕時計型の参考出展を紹介しておきたい。

●成功の鍵を握る「3本の矢」

 まず、眼鏡型については、NTTドコモが「インテリジェントグラス」と銘打ち、「手ぶらでムービー」「見るだけインフォ」「なんでもインターフェース」「空間インターフェース」と用途別に試作機を用意して来場者に体験してもらうコーナーを設けていた。

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