2013年10月28日月曜日

アニメでも実写でもない、スマホ向け“見るマンガ”――新たな映像化のかたち「Beeマンガ」

 9月、都内のアフレコスタジオ。10人ほどの声優が入れ替わり立ち代わりマイクの前に立ち、テンポよくかけあいながらキャラクターの声を吹き込んでいく。アニメの収録現場のようだが、モニターに映像は映っていない。よく見ると、演者が手に持っているのはマンガ「闇金ウシジマくん」。改めてブース内に響く声を聞くと、マンガのセリフを一字一句違わずそのまま読んでいる。

 ――ここで制作しているのはアニメや映画ではなく、原作の絵柄やコマ割りをそのまま利用し、プロの声優によるキャラクターボイスをはじめとしたサウンドエフェクトを加え、短い映像にした"見るマンガ"、「Beeマンガ」だ。

●映像配信サービスなのにマンガ?

 「Beeマンガ」は、月額の定額料金を支払うと、国内外の映画やドラマ、バラエティ番組やトーク番組までさまざまなジャンルの番組を無制限に閲覧できるNTTドコモのスマートフォン向け動画配信サービス「dビデオ powered by BeeTV」内の1メニュー。従来Android版のみだったが、iPhoneの取り扱い開始に合わせて10月10日からiOS向けのサービスも開始した。「闇金ウシジマくん」に「GTO」「カイジ」、「今日、恋をはじめます」や「主に泣いてます」など、まるで電子書籍サイトのようにマンガのタイトルがズラリと並ぶ。有名映画や人気俳優の出演するドラマに並んで、週間ランキングでも上位常連の人気コンテンツだ。

 「なぜ、動画配信サービスにマンガが?」――最初は違和感すらある「見るマンガ」というスタイルは「スキマ時間の新しい楽しみ方を追求した結果」と、運営を担当するエイベックス通信放送の森下正樹 編成部課長は言う。

 人気の理由は「手軽さ」。原作の1話分を、コマを追いかけるようなカメラワークで、セリフを音声で聞きながら10~15分程度の映像として視聴できる。「フィーチャーフォン時代から映像コンテンツを提供する中で、短い尺で楽しめる簡略化したコンテンツのニーズを感じていた。『ページをめくる必要すらない』ところまでやってみたらどうなるだろう、というチャレンジだった」(森下課長)

●「旬」と「懐かしさ」で心をつかむ

 男女向けにそれぞれ3、4作品を常時配信し、過去配信分もさかのぼることができる。すでに更新を終了している作品も一定期間は全話閲覧でき、現在アクセスできるのは12作品、875話に上る(9月時点)。

0 comments:

コメントを投稿