2013年12月6日金曜日

日本で“SIMフリー版”iPhone販売を始めた米アップルの狙い

米アップルが11月22日から、自社のオンラインストア「Apple Store」で、SIMフリー版iPhone5s、5cの日本における販売を開始した。

日本でこれまで一般的に流通していたiPhoneは、SIMロック端末。ユーザーはNTTドコモ版、KDDI(au)版、ソフトバンクモバイル版のいずれかを選択し、購入と同時にそのキャリアとの回線契約を結ぶことが義務づけられていた。

ところがロックが解除されているSIMフリー版は、購入時に特定のキャリアと契約する必要がない。料金やサービス内容を比較しながら、3大キャリアのなかから好きな会社のプランを選べ、また簡単に乗り換えられる。

それどころか、大手キャリアから回線を借りて事業展開している日本通信、IIJmio(アイアイジェイミオ)といったキャリアを選べば、より格安な通信料金プランが用意されているのだ。

さらに海外に行った際は、現地キャリアから通信料金前払い制のSIMカードを購入して端末に差せば、国内通話料金でその国の番号に電話をかけられる。そして、日本のキャリアの国際ローミング料金よりもはるかに安価にデータ通信を楽しむこともできる。

とまあ、いいことずくめなのだが、そうすると不思議なのが、なぜ日本でSIMフリー版の販売が始まったのかということ。アップルは各キャリアにiPhone販売権を与える際、過酷な販売ノルマを課すことで知られる。なのに、アップル自身でキャリアのiPhone販売を邪魔してしまっては、今後は各キャリアとの関係がこじれてしまうのではないか?

が、どうやらそれは早とちりらしい。ITジャーナリストの石川温(つつむ)氏が語る。

「アップルが直販するiPhoneが大売れすることは、まずないからですよ。端末代が相当高価な上、キャリアの通信料金割引サービスなども受けられませんから」


確かにSIMフリー版iPhoneは、5sの16GBモデルが7万1800円、同32GBモデルが8万1800円、同64GBモデルが9万1800円と、かなりのお値段。

しかも3大キャリアのショップで購入できるSIMロック版なら、例えばauの「毎月割」のように2年の回線契約を条件に、実質約半額で端末が買えるサービスがある。

だがSIMフリー版は、額面どおりの端末代金を支払わなければならない。いくら月々の通信費を安く抑えられても、多額の初期投資を回収する前に電池がヘタって、結局はSIMロック版より高くつく可能性のほうが高いのだ。

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