かつてはハードウェアをつくらずにソフトウェアだけで仕事をするのがパソコン界ではスマートなビジネスであるといわれていた。つまりソフトウェア販売であれば、ソフトウェアを開発した後はソフトメディアのデュプリケーション(複製)だけをすればいいため(厳密にはパッケージやマニュアルもあるが)、パーツの仕入れ、在庫管理が必要になるパソコンのハードウェアを売るよりも、よりリスクを減らして効率的にビジネスすることができると考えられていたからだ。
時は流れ、現在ではマイクロソフトは相変わらずWindowsというOSをつくり続け、今やそのバージョンは8.1になっている。バージョン3.0あたりでブレークしたので、一世を風靡してから5世代以上がたっている。
そんなマイクロソフトだが、最近は以前とは異なり、ハードウェアにも力を入れるようになってきている。以前からマウスやキーボードなどを販売しており、それらのデバイスにおいても非凡なセンスを発揮してきたマイクロソフトだが、最近はそのようなWindowsを使う環境的なオプションではなく、OSが動くハードウェア自体を開発、販売するようになってきているのだ。そのハードウェアというのがSurfaceだ。
ハードウェアとOSの両方でビジネスを手がけるという意味では、同業界の雄であるアップルも同じであるが、なぜ今になってマイクロソフトはハードウェアビジネスに本格的に参入しようとしているのだろうか?
1つには、ハードウェアビジネスがWindows 3.0の時代とは大きく変わっているということがある。これはアップルやデルなどが磨き上げて進化してきたものだが、オンライン販売で在庫を持たずに、しかも自分たち主導による供給で市場をコントロールすることで、在庫を持つリスクを減らしたり、販売価格のコントロールをすることが可能になる。そのため、必ずしも昔ほどには効率の悪いビジネスではなくなっている。
また、OSビジネス自体が大きく変化していることもある。以前はOSはパソコンの核として重要なものであると認識され、そのバージョンアップには万単位の金額を払うことは自然だったが、そんな時代は過ぎ去ってしまった。これはパソコン自体の価格が下がり、そのような金額を支払うことに対し、ユーザーが不自然さを感じるようになってきたからだ。
ソフト主体のマイクロソフトは、OSやオフィス向けソフトウェア・マイクロソフトオフィス(MSオフィス)の価格を従来通り高止まりさせたいのだが、変化した現在の状況、ユーザーのメンタリティがそれを許さなくなってきたというわけだ。…
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