2014年2月5日水曜日

<マイクロソフト>新CEOにナデラ氏 ゲイツ氏は会長退任

 【ワシントン平地修】米マイクロソフト(MS)は4日、スティーブ・バルマー最高経営責任者(CEO)の後任に、法人部門を統括するサトヤ・ナデラ副社長(46)を充てる人事を発表した。同日付で就任し、1975年の同社設立以来3人目のCEOとなった。共同創業者のビル・ゲイツ氏は会長を退くが、取締役には残り、「技術アドバイザー」としてナデラ氏を支える。

 ナデラ氏はインド生まれ。米サン・マイクロシステムズを経て92年にMSに入社し、主に法人向け事業を担当。インターネットを通じてソフトやサービスを提供するクラウド事業の推進などで手腕を発揮した。

 パソコン向け基本ソフト(OS)「ウィンドウズ」を擁し、IT業界で圧倒的な存在感を示してきたMSだが、2000年代後半以降のスマートフォン(多機能携帯電話)やタブレット端末の普及に押されて苦戦。事業の中心をソフトから「端末(ハード機器)とサービス」へ転換させることで巻き返しを図っている。改革を加速するため、バルマー前CEOは昨年8月、1年以内に退任することを発表し、ジョン・トンプソン社外取締役(セキュリティーソフト大手シマンテック元CEO)らが後任選びを進めていた。

 一時は、米自動車大手フォード・モーターのアラン・ムラーリーCEOらの名前が挙がり、外部からの起用に期待が高まったが、事業の継続性の観点から内部昇格で決着した。ナデラ氏は声明で「私の主な役割は、より早く顧客に革新的な製品をもたらす能力を高めることだ」と述べ、スマートフォンなどの端末事業で、米アップルやグーグルを追い上げたい考えを示した。

 ゲイツ氏は08年に経営の一線から退いていたが、MSによると、技術アドバイザー就任後はこれまでより多くの時間を会社のために使うという。新会長には、トンプソン氏が就任する。

 ◇マイクロソフト

 ビル・ゲイツ氏がハーバード大在学中の1975年、19歳で設立したソフト会社。コンピューター業界の巨人・米IBMが81年にマイクロソフト製基本ソフト(OS)をパソコンに採用して業界に名が広まった。85年にOS「ウィンドウズ」、90年に文書作成、表計算などの業務用ソフトシリーズ「オフィス」を発売。OSとともにパソコンにあらかじめ搭載する商法で、業績を拡大した。

 2007年に米アップルの多機能携帯電話(スマートフォン)「iPhone(アイフォーン)」が登場し、情報端末の主力はスマホやタブレットへ移行。出遅れたMSは12年10月、タブレット「サーフェス」を発売したが苦戦している。

0 comments:

コメントを投稿