2014年5月8日木曜日

迷走するソニーの「VAIO」売却 なぜレノボによる買収観測?世界市場変動の余波も

 中国のパソコン大手、レノボ・グループがM&A(合併・買収)を加速させている。

 レノボは今年1月、米IBMから企業向け低価格サーバー事業を23億ドル(約2400億円)で買収することで合意した。1月末には米グーグル傘下の米携帯電話機大手、モトローラ・モビリティを29億1000万ドル(3000億円)で買収すると発表。カナダの通信機器大手、ブラックベリーのM&Aにも意欲を示している。

 さらに3月、米アンワイヤード・プラネットが保有する特許を1億ドルで買い取ると発表したのに続き、4月にはNECからスマートフォン(スマホ)関連技術の特許を手に入れることで合意した。NECは昨年7月にスマホ事業から撤退し、携帯電話キャリア(通信事業者)向けの情報システム事業などに力を入れている。NECとレノボは2011年7月にパソコン事業を統合。レノボが51%、NECが49%を出資する合弁会社、レノボNECホールディングスが発足。同社の100%子会社としてレノボ・ジャパンとNECのパソコン事業を担うNECパーソナルコンピュータを展開している。統合から5年後にレノボが合弁会社の全株式を取得できることになっており、事実上、レノボによるNECのパソコン事業の全面買収である。

●パソコン事業からの撤退相次ぐ日本企業

 そして、IBM、モトローラの買収に次いで、レノボにとって今年3つ目の大型買収案件として、ソニーのPC事業が浮上した。一部メディアは、ソニーがVAIOブランドで展開するパソコンの海外事業をレノボに売却すると報じたが、ソニーはこれを否定し、レノボはコメントを避けた。2月6日、ソニーはパソコン事業を投資ファンド、日本産業パートナーズに売却することで合意。ソニーは採算の取れないパソコン事業に見切りをつけ、成長性の高いスマホ事業に力を注ぐという選択をした。

 2013年12月の国内パソコン販売台数シェアで、ソニーは11.2%の4位だった。パソコン事業の売却を発表した今年2月、シェアは一気に6.8%にまで下落し、NEC、富士通、東芝、レノボ・ジャパン、日本エイサー(台湾)の後塵を拝し6位に後退した。

 これに追い打ちをかける事件が発生した。2月に発売したノート型パソコン「VAIO Fit 11A」のバッテリーが過熱して発火する恐れが発覚したのだ。3月以降、一部が焼ける事故が国内外で4件起こり、ソニーは無償点検・修理対応することを決定。

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