2014年6月13日金曜日

アップル音楽会社買収で沸騰 定額配信が相次ぎ日本上陸へ

「そういや、ティムはえらく早く出社すると聞いたが、俺は何時に会社に行けばいいんだ?」

 6月2日に開かれた米アップルの開発者向けイベント「WWDC」で、アップル幹部に電話で紹介された"新入社員"は、黒人特有の早口の英語でこう述べ、会場に足を運んだ6000人以上の参加者の笑いを誘った。

 その新入社員とは、音楽プロデューサーのドクター・ドレ。1980年代後半から、米国西海岸で「ギャングスタ・ラップ」と呼ばれる音楽スタイルを確立し、今もカリスマ的人気を誇る。今は会社経営者としての顔も持つ。

 ドレらが2008年に創設したヘッドホンメーカー、ビーツ・エレクトロニクスは、5月末にアップルに約3000億円で買収された。ドレが新入社員として紹介されたのはこのためだ。

 では、ビーツとはどんな会社なのか──。

 まず、ビーツを一躍有名にしたのは高級ヘッドホンだ。「Beats by Dr. Dre」と冠した製品は、低音重視の音質に加え、「b」という文字のシンプルなデザインが若者を中心に流行し、米国市場シェアの約4分の1を占めている。

 だが、アップルが欲しかったのは、ヘッドホンという製品ではなく、ビーツが手掛ける定額音楽配信事業だ。音楽配信は、個別に曲をダウンロードするアップルの「iTunes」が長らく市場を引っ張ってきたが、現在は定額聴き放題の「ストリーミング方式」に取って代わられつつある。

 事実、現地報道によると、アップルは、会員数約25万人と今は小規模なビーツの配信事業に、約500億円をつぎ込んでいる。

 巨額投資の背景には、ストリーミング方式で、スウェーデンの「スポティファイ」が独り勝ちの様相を呈していることがある。

 スポティファイは5月、有料会員数が1000万人、月間利用者数が4000万人に達したと発表した。企業価値は4000億円に上ると評価されている。

スポティファイ上陸前夜

 実際、スポティファイの隆盛に対し、ビーツのジミー・アイオビンCEOは「こうしたビジネスモデルは間もなく終わり、崩れる」とライバル意識を見せている。

 音楽業界関係者は「アップルは今後、iPhoneの販売時にビーツの配信サービスを組み込んで会員数を大幅に増やすのではないか」と予測している。

 一方、日本市場を見ると、スポティファイ上陸のタイミングは刻々と近づいている。

 スポティファイは一昨年から日本市場参入へのチャンスをうかがっていたが、複数の音楽業界関係者は「ほとんどのレコード会社との交渉は好意的にまとまり、後は大手レーベルの反応待ち」と証言する。

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