2014年6月20日金曜日

良質なアプリを生み出すための失敗学~『Moneytree』創業者ポール・チャップマン氏に聞く


マネーツリー株式会社代表取締役ポール・チャップマン氏

起業家のさまざまな失敗談から成功への筋道を学ぶカンファレンスとして、アメリカやフランスなど世界12カ国で開催されてきた「FailCon」が2014年6月、ついに日本初上陸を果たした。

Open Network Labの主催で東京・代官山で開かれた「FailCon Japan」には、国内外の著名な起業家や事業プロデューサー9人がスピーカーとして集結。ユーザー参加型ソーシャルニュースサイト『Digg』の共同創業者ジェイ・アデルソン氏が務めた基調講演には、多くの注目が集まった。

『Digg』のほかにも、データセンター提供サービスの『Equinix』、ネットテレビ・ネットワーク会社『Revision3』などの創業にかかわってきた連続起業家として知られるアデルソン氏は、「嵐を乗り切る方法はあるのか? 2度の経済危機で2度の失敗から学ぶスタートアップの防衛術」と題して、自身の失敗談を披露した。

日本初上陸となった「FailCon」で基調講演を務めた『Digg』の共同創業者ジェイ・アデルソン氏

アデルソン氏にとって最初の大きな失敗は、順風満帆に見えた『Equinix』が株式公開を果たした2000年ごろ。大きな資金を手にした直後にITバブルがはじけ、『Equinix』は一転、苦境に立たされた。この時は攻めの投資が奇跡的に実を結び、絶体絶命の危機を乗り越えたが、すぐに次の「嵐」がやってくる。

2度目の大きな失敗は、2004年に創業した『Digg』での経験だった。新時代のニュースサイトとして注目を集め、2008年にはGoogleから巨額の買収オファーを受けたが、「送金の直前になってGoogleが翻意したんだ。慌てて従業員にサービスをこのまま続けることになったと伝えたけれど、もう元には戻らなかった」。

そこに追い打ちをかけるように襲ったリーマン・ショック。アデルソン氏は『Equinix』での経験を基に積極投資を主張したが、訴えは退けられた。その後、2010年にはCEOを辞任し、アデルソン氏と『Digg』は袂を分かつことになった。

「これらから得られた教訓は、どう決断するのがベストかは、背景にも左右されるということ。結局、答えは分からないということです」と話すアデルソン氏。「ですから、危機の中でも明確な視点で状況とデータを見て、最善を尽くすことが求められます。

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