2014年8月7日木曜日

孫社長、Tモバイル買収を“諦めない”と海外報道 米1,2位打倒に向けた今後の課題とは

 ソフトバンクの米国子会社で、携帯電話・同国3位のスプリントが、同4位のTモバイルUSの買収を断念した。5日のウォール・ストリート・ジャーナル紙の報道を皮切りに、各メディアが一斉に報じている。協議は順調に進み、金額面でも折り合いがついていたが、米規制当局はこの買収に強く難色を示していたという。今回、スプリントは、現時点でその反対を覆すことができないと判断したようだ。


【どんな取引をしようとしていたのか。また、孫氏の狙いは?】

 この買収が成立していれば、320億ドル(約3.3兆円)もの大型取引になる見込みだった。ソフトバンクは、昨年7月にスプリントを216億ドル(約1.8兆円)で買収・子会社化し、アメリカの携帯電話事業に参入した。


 米携帯電話市場において、1位のベライゾン、2位のAT&Tの加入者数はそれぞれ1億人を超え、合わせると全体の3分の2以上を占める。スプリントはその半数ほど、TモバイルUSはそれよりさらに少ない。ただしTモバイルUSは、斬新な料金プランが好調で、加入者数を順調に増やしている。反対に、スプリントは、このところ加入者の脱退が続いている。


 ソフトバンクの孫正義社長の狙いは、第3位と第4位を合併させることで、上位2社に対抗しうる携帯事業者を作り上げることだった。


【米政府当局はなぜ反対したのか】

 しかし、米連邦通信委員会と司法省は、大企業による寡占が進み、市場の競争が停滞することを恐れて、この買収に反対する構えを見せていた。消費者にとってはサービスの選択肢が減ってしまうことも懸念された。米ニュース専門放送局CNBCのウェブサイトによると、これら規制当局は、ベライゾン、AT&Tと競争する通信事業者が少なくとも2社以上存在することが望ましいと表明していたそうだ。


 連邦通信委員会は、来年実施される予定の携帯電話の電波帯の周波数オークションで、スプリントとTモバイルUSの2社が合同で入札に参加することはできない、とする意向を先週表明していた。これが、この買収は規制当局の承認を得られないだろうと結論づける、とどめの一撃となった、との情報筋の発言をCNBCは伝えている。


 ウォール・ストリート・ジャーナル紙によると、今年、米ケーブルTV最大手のコムキャストが、同2位のタイム・ワーナー・ケーブルを450億ドル(約4兆6千億円)で買収すると発表した。また、AT&Tは、衛星放送最大手のディレクTVを490億ドル(約5兆円)で買収することで合意したと発表した。

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