2014年9月1日月曜日

ネイティブアドの衝撃と、記事広告との違い(後編)

ネイティブアドの衝撃と、記事広告との違い(後編)
2014年09月01日
TEXT:小川 浩(シリアルアントレプレナー)

前編はこちら>ネイティブアドの衝撃と、記事広告との違い(前編)

ネイティブアドの在り方とともに、注目されているビジネスモデルがある。それはバイラルメディアとキュレーションメディアだ。

バイラルメディアとは、「バイラルメディアのBuzzFeedが日本進出を発表」で紹介したように、"ウイルスが感染するようにあっというまに広がるコンテンツを量産するメディア"だ。その手法はおもに、FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアを媒介するというもので、シェアされやすいテーマのコンテンツを用意したり、シェアされやすいように大きめなシェアボタンを目立つところに置いたり、ページごとにシェアボタンを用意するなどの工夫を施してある。

キュレーションメディアとは、ソーシャルメディアで話題になりやすいトピック(おもにゴシップ)を引用して、多少の編集をいれることで改めてコンテンツとして配信するメディアだ。日本国内ではGunosyやSmartNews、NewsPicks、旅ラボなどが該当する。

バイラルメディアとキュレーションメディアの基本構造はほぼ同じだ。海外の主要バイラルメディアの多くは自社にエディタを抱えて、自前のコンテンツを配信する戦略に方向転換しており、今ではバイラルメディアとキュレーションメディアの境界線はオリジナルのコンテンツの配分の違いくらいでしかない。

ただ、バイラルメディアの多くはネイティブアドを主要収益源としているが、キュレーションメディアの多くはアドネットワークを主要収益源とする傾向が強い。

最近、旅ラボ(http://tabi-labo.com/)が無断で海外メディアの記事を翻訳して、かつ引用元を紹介せずに使っていたことで炎上した。キュレーションメディアにはこのように、そもそも他人のコンテンツを引用して広告収入を得るという非常にグレーなビジネスモデルの上に成立している。ある意味、ガチャ問題で失速したソーシャルゲーム市場と似たところがある。

BuzzFeedなどのバイラルメディアや、Mediumなどのプラティシャーはこのリスクを早々に回避すべく、オリジナルコンテンツへの依存度を必死に上げているのだ。

キュレーションメディアのやり方そのものは違法ではないが、人のコンテンツで稼いだトラフィックの上にアドネットワークを掲載するやり方は、やはり社会的な制裁を受ける可能性が高い、と僕は考える。

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