2014年9月3日水曜日

「IT化」で収益力を大幅アップさせる中小企業の秘密

社内にITシステムを導入したものの、うまく使いこなせないという企業は多い。特にシステムエンジニアやソフトハウスの言いなりになって使いづらいシステムになったという愚痴はよく聞く。JKBはなんと1970年代初期から生産管理システムを自社で作り上げ、ITを使いこなしてきた先進企業だ。
■精密順送プレスで大手も注目!
川崎市に本社を置くJKBほど、進化系中小企業の名がふさわしい企業はない。その進化の歴史は1970年代初頭に導入した生産管理システムから始まっており、今も進化中だ。
よく、中小の製造業にとってITなど役に立たないという声を聞く。「コンピュータなんか頼っている暇があったら腕を磨く方が早い」と、町工場のオヤジさんが腕まくりする場面も目にする。だが、JKBのITシステム作りの歴史と、現在の同社の強さを見れば、そんなオヤジさんも考えを変えるだろう。
JKBは精密順送プレス加工と、その金型製作の専門企業である。従業員数は31人と、典型的な中小企業だが、その技術力の高さは際立ち、大手企業も頼ってやってくるほどだ。
通常のプレス加工は、単発プレスと言い、プレス1回で1工程しかこなせない。ところが、順送プレスは単一の金型を使い、1回のプレスで、穴開け、絞りなど複数の工程を一気に行うことができる。そのため、生産性は高いのだが、金型の構造は当然ながら複雑になり、熟練の設計技術が必要となる。
JKBは、これまで実現不能だった複雑な形状や超微細なプレス加工を実現させ、「新しい金属部品・プレス部品づくりはJKBに相談」と言われるほど信頼を得ている。
一例を挙げると、1円硬貨の6分の1の範囲内に120個以上の微細な穴を施したフィルターは従来エッチング技法でしか作れなかったが、JKBは順送プレスで実現、製造コストをなんと10分の1まで下げた。
主に電子機器、医療機器向けの金属部品を手がけているが、いずれも取引先にとっては重要な戦略製品だ。JKBは顧客の設計段階から参画し、部品点数や作業工程を削減できるように提案する。量産段階に入れば、JKBが金型設計からプレス加工まで請け負うので、顧客にとっては秘密保持にも有効だ。
そのため、JKBでは高度な営業秘密管理を徹底し、工場内に社員以外の立ち入りを禁止する区域を設けたり、顧客図面データへのアクセス制限などを実施している。
■生産性向上支援システムで納期遅れゼロ
社長の平井圭一郎(33歳)は、同社の3代目で2006年にJKBに入社、10年、社長に就任した。

0 comments:

コメントを投稿