2016年1月20日水曜日

マニュアルは捨てろ! 宇宙で初の花を咲かせたのは判断力


目の前の状況をよく見るんだ!

国際宇宙ステーション(ISS)で咲いた初めての花。オレンジ色の花を咲かせた百日草が大きなニュースになりましたが、なんとあわや栽培失敗の危機があったことがわかりました。花を助けたのは、マニュアルやルールではなく、ISS乗組員の判断力でした。

ISSでは、食べられる植物を宇宙で栽培する実験プロジェクトVeggieが行なわれています。今のところ、百日草とレタスの栽培に成功しました。が、レタスは水のやりすぎで1度失敗していました。成功したのは2度目のチャレンジ。実は、先日花を咲かせた百日草も、もう少しで失敗してしまうところだったのです。


image: NASA


百日草を植えて2週間後、チェル・リンドグレン宇宙飛行士が、栽培キットから水がにじみ出ているのを発見。確認してみると、3つの植物が水分過多で弱っていることがわかりました。10日後、写真を通して科学者がチェックすると、葉っぱの縁に水滴が見られるとともに、葉っぱが丸まってきていることがわかりました。これは大きな問題です。水滴は湿度が高く、葉から余分な水分が排出されているというサイン。そして、丸まる葉は根腐れのサイン。2つのサインから、水分過多である上に、空気の循環が上手く行なわれていないことが明らかになりました。

なんとかしなければなりませんが、ISSの宇宙飛行士は忙しいもの。緊急発生した宇宙遊泳ミッションがあり、植物の世話をする時間なし。応急処置的な対策として、ファンを強にセットして状況が改善することを祈るばかりでした。

主人である宇宙飛行士が忙しいからと言っても、食物は自分でどうすることもできません。植物組織は死に始めました。さらにカビまで…。カビは植物だけの問題ではありません。空気循環が限られたスペースステーション、乗組員の健康に害を与える可能性もゼロではありません。もう一刻の余裕もない、NASAは早朝4時という時間もかまわず、Veggieプロジェクトの担当科学者に今すぐなんとかして!と電話で連絡しました。


image: NASA


Veggieプロジェクト担当長である科学者のTret Smith氏は、2015年12月22日、早朝の電話で叩き起こされました。手早くチームを集結させると、4時間ほどで対応策の案をまとめました。これを実行するのは、ISSで植物の世話をしているスコット・ケリー宇宙飛行士。念のためマスクをつけて、カビた組織をカットし、手が届くところはすべてシートで拭き消毒しました。

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