2016年2月25日木曜日

痛車はこうしてできている――最新デジタル印刷と職人技のスーパーコラボ

 「痛車」をご存知でしょうか。車体全体にキャラクターイラストをデコレーションした車のことです。デコトラや車両広告とは違い、アニメやゲームに熱い思いを持ったファンの表現活動とも言えます。

 実は、痛車のビジュアルはペイントや塗装ではなく、インクジェットを中心とするデジタル印刷のステッカーが貼りつけられています。曲線的な車体を美しくデコレーションするために、最新技術と職人技が生かされているのです。

 駅のホーム、街中の看板、カフェのマグカップ、スーパーのビニール袋――毎日目にする広告やデザインは、あなたの視界に入るまでに必ず「印刷」の工程があります。いつもの毎日をちょっと面白くする"あなたの知らないプリンタの世界"をご案内します。

●デジタル印刷とは?

 そもそも「デジタル印刷」とはなんでしょうか。従来の印刷方式はさまざまなタイプの版(はん)にインクをつけて紙に印刷していました。小学校の図工の授業で経験した「版画」「消しゴム版」などの原理もその中の1つです。印刷スピードがとても速いので、大量生産に向いていますが、版の製作や印刷の準備に費用と時間がかかります。

 一方で、デジタル印刷はその「版」がいりません。なので、少ない数量で多彩な種類の印刷できるようになりました。 カスタマイズ(別注品)、ローカライズ(ご当地物)、パーソナライズ(自分用)などの商品づくりが簡単にできるようになったのです。

 代表的なデジタル印刷方式はインクジェットやレーザー転写(要はコピー)、液体トナーのデジタルオフセット、などがあります。

●進化する痛車――手描きからプリントへ

 さて、「痛車」の話に戻りましょう。約40年前、1970年代にデコトラ(デコレーショントラック)が流行り、映画の題材にもなるブームとなりました。東映のトラック野郎シリーズですね。この時代の映画、個人的にも大好きなのですが、当時はもちろん車体への手描きペイントです。

 その後「貼る塗料」とも言われる色付きのステッカー素材「マーキングフィルム」の切り文字の貼り分けが台頭します。初期はカッターを巧みにさばく「手切り」、1990年代頃からカッティングマシンを使って機械でステッカー素材を切る方法が主流になっていきました。2016年の現在は、インクジェット印刷とカッティングの併用が世界的に広まっています。

 「インクジェット」はご家庭でも使われているプリンタでもおなじみですね。

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