2016年2月9日火曜日

お金持ちはなぜ悪事を働くのか、新たな研究で明らかに


競争に勝つことで、欲が深まる。

悲しいことに、お金持ちで成功していてパワフルな人ほど、ズルしたりウソをついたり、なんというか信頼できない感じだったりします。ダークサイドに落ちないと、上には行けないってことなんでしょうか? でもある研究によれば、むしろ逆のようです。つまり、競争に勝つことによって、倫理感より自分の利益を優先させるようになってしまうんだそうです。

米国科学アカデミー紀要(PNAS)で、イスラエルのネゲヴ・ベン=グリオン大学とエルサレム・ヘブライ大学の研究チームが、そんな残念な研究結果を発表しました。

彼らが行った実験は2段階のゲーム形式で、まず1段階目で被験者を勝者と敗者の半々に分けます。そして2段階目では被験者にサイコロを振らせ、出た目にもとづいてお金をごほうびとして与えました。ただそのとき、どんな目が出たかは被験者にしかわからないようにしたのがミソです。つまり被験者は、サイコロの目を多めに申告して本来より多い金額を受け取ることもできたんです。

2段階目が終了した後、1段階目で勝者となった人と敗者となった人の申告したサイコロの目を比較したところ、勝者にはサイコロの目を多めにごまかして申告する傾向がはっきりと見られたんです。

ゲームは1段階目・2段階目ともに、ふたりがペアになる形式でした。1段階目では、被験者はコンピューター画面で図形の集合を見て、どんな図形が一番多く表示され、図形が全部で何個表示されたかを答えました。そしてペアのうち、回答が実際の数に近いほうが「勝ち」となり、イヤフォンがもらえました。ちょっと変わった実験ですが、要は偶然によって勝敗が決まり、この段階で勝敗が知らされることがポイントです。

2段階目では新たなペアが組まれ、今度はサイコロを振ってその目にしたがって合計12シケル(約360円)のお金を分け合うゲームが行われました。ペアのうちひとりが、つぼ振りの要領でサイコロ2個を転がし、7(一番出やすい目)を出せばお金の半分を、それより多い目を出せばより多くの金額を受け取ります。そしてペアの相手は、残ったお金をもらえます。ポイントは、どんな目が出たか確認できるのはサイコロを振った人だけで、ペアの相手にも研究チームにも見えないようになっていたことです。つまりサイコロを振る人は、目を多めに申告することで、相方の取り分を自分の取り分に回すことができたんです。

ただし研究チームでは、個々のプレイヤーによる不正を見ぬくことはできなくても、サイコロを振った人が申告した目の合計値は把握できました。

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