2017年1月29日日曜日

<スマホで道案内>全盲技術者ら開発 商業施設で実証実験

 スマートフォンを利用して、視覚障害者や車いす利用者に音声で道案内するシステムの実証実験が、2月に東京・日本橋の商業施設で行われる。既存の案内システムより高い精度で利用者の位置を把握し、障害に応じた目的地へのルートを案内する。14歳の時に事故で視力を失った女性技術者が開発に携わった。【高橋昌紀五味香織

 音声案内システムは、専用のアプリを使う。利用者がスマホに「和菓子が食べたい」「映画が見たい」などと語りかけると、アプリが行き先の候補を紹介し、「ご案内しますか」と問いかける。「お願いします」などと答えると、道案内を開始する。

 実験エリアには、スマホの位置を把握するセンサーを5〜10メートルおきに設置し、利用者の動きをきめ細かくフォローする。視覚障害者には「点字ブロックが終了します」「5メートル先を右、自動ドアが二つ」などの注意点を織り交ぜながら案内する。車いす利用者にはスロープやエレベーターを使うルートを示す。

 システムは、清水建設と日本アイ・ビー・エムが共同開発した。開発に携わった日本アイ・ビー・エム東京基礎研究所の浅川智恵子さん(58)は14歳の時、プールでの事故が原因で視力を失った。大学卒業後に入社し、点字翻訳システムなど視覚障害者向けソフトの開発に力を注ぎ、米IBMの技術職最高位「フェロー」になった。日本アイ・ビー・エムによると、日本人ではノーベル物理学賞受賞者の江崎玲於奈さんら4人が務めた肩書でもある。

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