2017年8月13日日曜日

アップル、米国内製造への動き急速化…確立した製造モデルを大転換の可能性

 米国のドナルド・トランプ大統領は、「アメリカファースト」を掲げ、製造業の米国回帰と米国国内における雇用の創出を強調してきた。そのやり玉に挙がっていたのがアップルをはじめとする、米国外での製造によって莫大な利益を抱え、その利益を米国外に蓄積しているグローバル企業だ。「アップルに、米国内に工場をつくらせる」ことは、トランプ大統領にとって就任前からのひとつのわかりやすいゴールとなっていた。

 7月25日に米紙ウォール・ストリート・ジャーナルが報じたトランプ大統領へのインタビューで、同氏はアップルのティム・クックCEOが「米国内に巨大な工場を3つつくる」と約束したと話した。前述のような、トランプ大統領にとってわかりやすいゴールの実現を示す話であるが、果たしてこれは実現するだろうか。

●アップルは工場をつくらない?

「アップルに工場をつくらせる」というトランプ大統領の目標は、若干言葉足らずな部分がある。同社製スマートフォン「iPhone」発売以降、アップルは自社で直接工場を持つモデルを取っていないからだ。

 アップルはサプライヤーから部品を調達し、「製造委託先」となるパートナー企業によって製品の組み立てを行うモデルを成立させてきた。このモデルを確立し、実行してきたのは、クック氏の手腕によるものだったと振り返ることができる。

 いくらトランプ大統領の意向だからといっても、クック氏が既存のモデルを崩してまで、これに応じるとは考えにくい。

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