2017年8月30日水曜日

<東芝>WDに独占交渉権 半導体売却、来月合意目指す

 東芝は、半導体メモリー子会社「東芝メモリ」の売却交渉で、協業先の米半導体大手ウエスタン・デジタル(WD)を含む日米連合に独占交渉権を与える方針を固めた。31日の取締役会で決定する見通し。WDの経営への関与度合いを将来どうするかなどの点について細部を詰め、9月中旬までの最終合意を目指す。

 東芝は現在も事実上、WD陣営のみと交渉しているが、韓国の半導体大手SKハイニックスや米ファンド、官民ファンドの産業革新機構などでつくる「日米韓連合」や、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業との交渉を打ち切ったわけではなかった。今回、1陣営に絞り込むことで「月内決着」を要求していた銀行団などから理解を得たい考えだ。

 WDのスティーブ・ミリガン最高経営責任者(CEO)が来日し、東芝の綱川智社長と会談するなどして詰めの協議を行ってきた。これまでにWDは当面議決権を持たず、普通株に転換できる社債を約1500億円引き受けることが固まった。このほか、WDと連合を組む革新機構や日本政策投資銀行、米投資ファンド「コールバーグ・クラビス・ロバーツ(KKR)」が普通株や優先株などの形で出資するほか、東芝も一部保有を続け、総額2兆円程度を拠出。日本勢で経営の主導権を握ることでも一致している。

 両者は数年後に株式公開することを想定。その際にWDがどの程度まで比率を高められるかを巡り、低く抑えてほしい東芝との間でなお溝があるようだ。契約書の作成も作業量は膨大。最終合意までは、なお曲折が予想される。【古屋敷尚子

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