2018年8月31日金曜日

根拠に乏しい「携帯料金4割値下げ」 MVNOつぶしになる恐れも

 菅官房長官の「携帯電話料金は4割値下げできる余地がある」という発言に、モバイル業界全体が困惑している。なぜこのタイミングで、何を根拠に「4割値下げできる」と豪語しているか、さっぱり理解できないからだ。

 ほとんどのキャリア関係者が「総裁選や来年(2019年)の参議院選、消費税増税をにらんでの国民への人気取りだろう」という見方をしている。しかし、4割という具体的な数字が出てきたことで、何かしら対応が求められる可能性があり、戦々恐々としているのだ。

●「4割」の根拠はどこにあるのか?

 この4割という数字、どうやら菅官房長官は、海外と比べて日本の携帯電話料金は高いという認識があり、他国並みに安くできるだろうと思い込みから発せられたようだ。

実際、菅官房長官は総務省が2017年調査、発表した内外価格差のデータを元に発言している節がある(関連リンク※PDF)。

 この調査データは米国、英国、フランス、ドイツ、韓国と日本で比較されている。しかし詳細を見てみると、確かに20GBプランでは日本はドイツに次いで2番目に高いのだが、2GB、5GBで比較すると、平均的な位置付けとなっている。つまり、世界と比べても日本は決して高いわけではないのだ。

 菅官房長官がズルいのは、あえて20GBプランだけを引き合いに出し「日本は高い」と主張しているのだ。

 さらに菅官房長官は「OECD(経済協力開発機構)の(調査データの)平均と比べると日本は2倍近く高い」と発言しているが、このOECDの調査データも、各国、取り上げているプランがバラバラで、中にはプリペイドプランも混じっている。

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