2018年8月2日木曜日

列車飛び込みをネットで公開…「自殺動画」は新たな遺書か

 先月28日、札幌市内のJR函館線苗穂駅で特急列車に飛び込んで死亡した男女2人が、自殺の様子を動画で撮影し、インターネット上で公開していたとみられることが分かった。スマホを固定し、撮影した可能性があるという。

 同月上旬にも、奈良県大和郡山市の近鉄郡山駅で、女子高生が特急電車にはねられる瞬間の動画がYouTubeなどで拡散している。衝撃的な映像はネット上で物議をかもした。これらの動画を自分の意思で撮っていたのなら、それはなぜなのか。

「自殺は、自分で死んだことを第三者から確かめられなければ、自殺と認められなかったりします。そのため、確たる証拠を残したいという心理が働くのではないか」

 こう分析するのは、明大講師の関修氏(心理学)である。そもそも自殺はひとりで行うものだ。ほう助する"共犯者"は別として、だれかがそばにいれば、引き留められるだろう。だとすれば、目撃者はいないことになる。

「本人は亡くなっていますから、発見した第三者が『自殺だった』と結論付けるほかありません。ただし、それは推論でしかない。線路への飛び込みも、その瞬間を目にする人はいますが、人ごみの中なら押されたり足を踏み外したりしたことも考えられるので、事故や殺人と判断される可能性もあります。一方、自殺を選んだ人は、やむにやまれぬ理由があって"覚悟"をし、死を選んだわけです。残された人にその行動を認めてほしいと考えるのが自然。これまではそれが遺書の役割でしたが、今は簡単に動画を撮れますからね。それをネット上で公開するのは、"覚悟"を伝える手段だと感じます」(関修氏)

 SNSが身近になって誰でも手軽にリアルタイムで動画を公開できるようになったのは間違いないが、死ぬ気になれば道が開けることは昔と変わらないはずだ。

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