2017年6月12日月曜日

<レシピ動画の限界>ありきたりな料理を無理やりフードポルノにするオワコン感

藤本貴之[東洋大学 教授・博士(学術)/メディア学者]

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1分程度の動画で調理を見せる「レシピ動画」が人気だ。「DELISH KITCHEN(開始は2015年9月)」「kurashiru(同2016年2月)」を筆頭に、「mogoo(同2015年9月)」「TASTY Japan(同2016年8月)など、同傾向のサービスが続々と生まれている。

レシピ動画メディアは、この1、2年で急成長した分野である。今年の3月に「kurashiru」を運営するdely株式会社が第三者割当増資を実施して30億円を調達したことも話題となった。今後、さらなる成長が見込める投資先としても、魅力的なコンテンツという認識なのだろう。

レシピ動画の基本構造はどれも似ている。調理の様子を上から俯瞰で撮影し、その調理工程を早送り再生した1分前後の動画として見せる。映像の最初か最後で完成した料理をカットして箸やフォークでつまみ上げる、といった構成だ。チーズやクリーム、ソース類を使っていることが多く、それらがからみ美味しそうに糸を引く。

そういった素材を多用して目を引かせる作りは典型的な「フードポルノ」であり、かつてレオタード姿の女性が激しいダンスを踊るCMで一世を風靡した消費者金融のアイキャッチと同じ古典的な手法である。

確かに、1分程度の早送り動画で紹介されるレシピは文字情報や静止画よりも直感的だ。また、早送りの短い動画で1品の料理が出来上がる模様は、調理をしない人が見ても面白い。

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