ToDoリストを作るのは、目下やるべきことを把握しておくのに良い方法です。ところが、作家で行動経済学者のダン・アリエリー(Dan Ariely)氏は、米紙「Wall Street Journal」のコラムの中で、ToDoリストは一部で考えられているほど有益ではない、という立場を示しています。
アリエリー氏は、ToDoリストは片づけなくてはならないタスクを把握するのに有効だとしながらも、その弊害の可能性を指摘しています。
合理的でない点を挙げてみましょう。リストを作って、完了した項目を消していくと、仕事が順調に進んでいるかのような錯覚に陥りがちです。最近ではToDoリストのうち、優先順位の高くない簡単な仕事を先に片づけることを「計画的な先送り」という、聞こえの良い言葉に言い換えるのが流行っています。
要するに、1日の終わりにその日やったことを振り返ってみたら、大して仕事が片づいていないという場合でも、何らかの達成感を得るための方便にすぎません。
もうひとつ気になるのは、リストを楽しく使えるように工夫を凝らしたアプリがたくさん出ているけれど、生産性の向上には逆効果なのではないかということです。実際の仕事に集中しないで、「計画的な先送り」ばかりを繰り返すようになりそうです。
アリエリー氏は「計画的な先送り」に否定的なようですが、ライフハッカーでは以前に、これを逆手に取って最優先の仕事に取りかかりやすくする方法も紹介しています。それはともかく、このコラムで重要なのは、私たちはToDoリストを使うことで「ニセモノの達成感」に陥りがちだ、というところです。
楽しいToDoリストアプリが実際に先送りを誘発しているか、生産性に悪影響を与えているかは、何とも言えません。それでも、興味深い指摘には違いありません。
To Do: Ignore All Those To-Do Lists | The Wall Street Journal
Thorin Klosowski(原文/訳:江藤千夏/ガリレオ)
Photo by Juhan Sonin.
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