2013年11月4日月曜日

犯罪の温存に“された”LINE、制限利用は見せかけ?SNSが規制と緩和を繰り返すワケ

 LINEが18歳未満の利用方法に制限をつけた。利用そのものを禁じるのではなく、IDでの検索を不可能にするという制限だ。電話番号などがわかっている相手とは問題なくつながることができるため、学校の友人や家族などと利用する分にはまったく問題がない。

 要するに、見ず知らずの人と気軽につながることができないようにした、という程度の制限だ。電話番号を交換できる間柄なら問題ないが、アドレス交換はしたくないけれどなんとなくつながっていたい、という程度の相手とのやりとりが難しくなる。

 KDDIのAndroid端末から制限が始まり、NTTドコモとソフトバンクの端末も対象になった。しかし、今のところiPhoneは対象外だ。しかも、実はIDがわからなくとも電話番号公開などせず、気軽に掲示板等でつながる相手を募集する方法も残っている。

 かなり穴だらけの規制なのだが、気軽に使っていた層にはそれなりに効果があったようだ。実際、Google Playのレビュー欄は規制対象だと思われる人々の罵詈雑言が踊っている。

●規制は相次ぐ事件に対する言い訳か

 今回の規制の表向きな理由は、相次ぐ青少年が巻き込まれる事件の1要因としてLINEが挙げられることが多くなったのを受けて、青少年ユーザーが安易に見知らぬ人と出会うことがないようにするという。

 しかし、その割には穴が多い。機能に詳しくない青少年の安易な利用を制限するとともに、機能に詳しくないマスコミや保護者に対する一応の言い訳を用意した程度というように見える。なぜこのような中途半端な対応がされたのかといえば、まさしく風当たりの強さに対する言い訳なのだろう。

 最近の事件でなにかとLINEが関係しているように見えるのは、単純に利用者が拡大しているからだ。しかも、従来のSNSのように日記を書く・読むというような使い方ではなく、日常生活に溶け込んだ連絡手段の1つになっている。小さな諍いが発生することも当然多くなるだろう。

 ところが「犯人と被害者は前日電話で喧嘩をした」というだけなら話題にもならないのに、喧嘩の場がLINEだと話題になる。ドラマにも映画にも殺人を扱った作品はあるのに、ゲームばかりがやり玉に挙げられるのと同じだ。使う側、見る側の問題であることに目をつぶり、勝手に原因であると人々が決めつけたものに責任を押しつけて対応を迫るというパターンはよく見られるが、その新たなターゲットがLINEだったというわけだ。

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