2014年1月20日月曜日

赤字転落の任天堂。WiiUが売れない当たり前の理由

任天堂は2014年3月期の通期予想を発表した。当期損益を550億円の黒字から250億円の赤字に下方修正した。原因は年末商戦でのニンテンドー3DSとWii Uの販売の苦戦だ。

【前回発表予想】
売上高 9200億円
営業利益 1000億円
経常利益 900億円
当期純利益 550億円

【今回修正予想】
売上高 5900億円
営業利益 △350億円
経常利益 50億円
当期純利益 △250億円

私事だが、子どもの誕生日プレゼントとして3DSを買うために11月後半から店頭をチェックしていた。都内某家電量販店でレジ前に20~30人が並ぶ12月中旬になっても3DSは全カラーが残っていた。また、3DSのソフトもWiiU本体もそのソフトも売れ残っていた。特にWii Uを観ている人はほとんどいなかった。2014年2月に発売を控えたPS4による買い控えではなく、任天堂商品の魅力やプロモーションに失敗要因はある。

今回の発表でWii Uは目標の1/3の売上という結果が出た。これは悲惨な状況だ。なぜWii Uはこのような状況になってしまったのか。理由の一つは、増えすぎるハードの存在だ。

すでに3DSを始め、他のハードを持っており、この上ハードを増やすことは親が認めない。ゲームのし過ぎを良しと思っていない親が、新しいハードを買うのは難しい。特に3DSの場合、すでに多くの子どもが大人にとっての携帯電話くらい当たり前に持っている。学校の話題も3DS中心だ。親の視点からも、子どもの視点からもWiiUが介入する余地は低かったのだ。

理由のもう一つは、インターネット接続の存在だ。インターネットを通じてテレビ電話やチャットなどが出来る。ネットを通じた犯罪に巻き込まれることを恐れる親からすれば、インターネット接続料もさることながら、安全面についても不安があるのも事実だ。これに対して任天堂はテレビCMで注意喚起を促しているが、中途半端なプロモーションになってしまったと言わざるを得ない。

そもそも一時期、Wiiが流行った理由は、家族みんなや友達と遊べそうだという理由だった。親が買うべき必然性があったのだ。Wii Uにゲームとしての魅力がないわけではない。子どもも興味は持っている。販売拡大のポイントは、子どもに対して買うべきモチベーションを高めることと、親に対して買うべき必然性をしっかり提示し直すことだ。これだけ悲惨な状況だと、早急に手を打たねばならないだろう。任天堂の次の手に注目だ。

(新井 庸志)


【ガイド:All About News Dig編集部】

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