2014年2月12日水曜日

高齢化先進国のメーカーが作った 「加齢対応PC」の出来栄えは?

「らくらく」シリーズとは異なるアプローチ
PCをバリバリ使える人の加齢対応を強化

 富士通は、55歳~65歳をメインターゲットにしたウィンドウズ8.1搭載PC「グランノート(GRANNOTE)」を発表した。発売は2月13日、価格はオープンだが22万円前後になる見込みだ。

 グランノートの特徴は、高年齢層が使いやすく、疲れにくい機能にある。まずユーザーは初期設定で自分の年齢を登録する。すると加齢によって感度が落ちる青色系の発色を補う「あわせるビュー」が稼働。風景写真の空の青みなどが鮮やかに感じられるようになるという。これはもちろん、元の画像データを加工するのではなく、見た目の調整の話である。

 また、内蔵センサーによって、たとえば自宅のリビングが暖色系の照明の場合、画面が白く飛び過ぎないように調整してくれる。店頭効果を狙って明るい光沢画面を採用した機種と比べ、実用性の高さを選択した。

 さらに音声も、先ほどの年齢登録から加齢により聴こえにくくなる高音域を補正してくれるなど、まさに至れり尽くせりのサポート機能をあれこれ搭載している。こうした機能は、もともと同社のスマートフォン「アローズ」などに搭載されているユニバーサル技術をPCに応用しているそうである。

 富士通では従来から、携帯電話の「らくらくホン」や「らくらくPC」で、シニア向け商品を積極的に開発してきた。「らくらく」シリーズは「高齢者がはじめて使う」ことを前提にした敷居の低さが受けてヒットしたが、今回のグランノートはそれとはアプローチが異なる。これまで本格的にPCを使ってきた人が、自身の加齢による反応の低下を補うPCという位置づけだ。したがって初心者向けに振った機能は搭載されていない。

 そのほか、キーボードのストロークやキーの重さ、バックライトにも独自の工夫を凝らしている。さらに専用のクラウドストレージに、自分が持っているプリント写真をスキャンしてくれるサービスまで付いている(スキャンは初回50枚まで無料、その後は有料)。

これからも個人ユーザーは
PCを使い続けるのか?

 PC市場は前年割れが続き、世界市場で上位のPCメーカーは、「脱PC」に向けてスマホやタブレット、ウェアラブル端末などの開発に軸足を移そうとしている。その中で、オーソドックスなPCで新たなジャンルを登場させる富士通の狙いはどこにあるのか。

 製品の開発責任者である、永田泰三・ユビキタスビジネス戦略本部パーソナルプロダクト統括部統括部長は、PC市場の低迷について「ここ数年は、すでにPCを持っている家庭がはじめてタブレットやスマホを購入したことの影響で、PCの買い替えは後回しになったことが低迷の原因とみている。

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