2014年3月3日月曜日

Appleのティム・クックCEO、怒る - 物腰柔らかな氏がなぜ? (1) AppleのCEOを怒らせたNCPPRの質問

米Appleが2月28日に開催した株主総会において、株主の1人としてあるシンクタンクが行った提案に対し、Apple CEOのTim Cook氏は怒りをあらわにして「理由しだいではAppleの株を手放すべきだ」との台詞とともに拒絶の意志を示したということが話題になっている。苛烈な性格で知られたSteve Jobs氏に対して、調整役で比較的物腰の柔らかいとされるCook氏だが、そんな同氏を怒らせた株主の提案とはどのようなものだったのだろうか?

同件はMacObserverなどが報じている。問題となったのは同月28日に行われた株主総会での場面で、NCPPR (National Center for Public Policy Research)という米ワシントンDCを拠点とする"保守系"シンクタンクを自認する団体が株主代表として同社に行った提案に起因する。現在Appleは米ノースカロライナ州で拡張中の同社データセンターにおいて100%再生可能エネルギー利用を実現しようとしているが、これら取り組みについてコスト開示による透明性の強化や、ビジネス活動への影響を明示せよというのが提案の趣旨だ。NCPPRの代表はCook氏に対し2つの質問を行い、グリーンエネルギー事業は政府の補助金で成立していること、そして取り組みそのものが企業の収益にどう貢献しているのかという点を問い質したという。

●なぜ怒ったのか?
1つめの質問に対しては明確な回答をはぐらかしたが、2つめの質問に対してCook氏は怒りを隠さずに反論したようだ。まず環境問題について同氏は「こうした問題において投資対効果(ROI)は最重要視されない」としつつ、例えば視覚障害者向けのデバイス開発でROIが重要視されるのかとコメントした。そして「もしROIのみを理由としてわれわれにそのような提案をするのならば、あなた方はApple株を売却して株主を辞めるべきだ」とまくし立てたという。これだけを見ると、なぜCook氏がそこまでROIと環境対策に関する提案でそこまで怒りをあらわにするのか不明だが、NCPPRが石油メジャーらから多額の支援を受けたロビー団体というバックグラウンドがあり、反地球温暖化団体という性格から、Appleの行動を牽制すべく動いているということをCook氏らが把握しており、これに対する明確な拒否反応というわけだ。

NCPPRは過去にも反地球温暖化論を唱え、科学的根拠や分析なしに化石燃料の消費がそのまま地球温暖化に結びつくのは早計との見解を出しているが、こうした活動がグリーンエネルギー推進団体と相性が悪いのは容易に想像がつく。

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