2014年4月14日月曜日

ネット上の「釣り」を見抜く技術。「釣り師」のテクニック徹底研究

実は耳が聞こえていて、作曲していたのは別人だった「現代のベートーベン」。
ノーベル賞ものだと騒いでみたら、論文に捏造疑惑があがった「リケジョ」。

果たして「嘘」か「真実」か。当たり前ではあるけれど、見定めるのは難しい。それがネットの匿名掲示板での話ともなるとなおさらだ。
ふと、「俺たちは踊らされているだけなんじゃないか」と思うときすらある。

4月発売の新書『2ch、発言小町、はてな、ヤフトピ ネット釣り師が人々をとりこにする手口はこんなに凄い』は、ネット上の「釣り」を見抜く技術を記した本だ。
著者のHagex(ハゲックス)は「ネットウォッチ日記」サイトを運営するネットウォッチャー。サイトの月間PVは350万だという。(巻末の著者紹介より)

そもそも「釣り」とは、創作エピソードをあたかも実話のように披露し、反応などを楽しむネット文化のこと。このような「釣り」行為を頻繁に行う者を「釣り師」と呼ぶようだ。

3歳になる息子をほったらかして夫は朝からパチンコへ
主婦の私はストレス発散のため寸胴一杯分のカレーをつくりました
チャイムが鳴ったので玄関の扉を開いたけれど誰もいません
キッチンに戻ってみたらカレーがなくなっている!
返って来た夫が激怒して110番
警察が駆けつけます。「勝手口から泥棒が寸胴を盗んだんじゃないか」
そこへお隣の奥さんがやって来て一言
「カレーを盗んだぐらいで通報するなんて大げさ!」
そのまま警察署へ連れていかれました
お隣の奥さんは、隣りの国から嫁いできたので、いろいろとストレスが溜まっていてあんな行動をしたのかな?
ちなみにカレーはすべて食べられていて戻ってきませんでした(涙)

これは、2ちゃんねるの「育児板」に投稿された文章をベースに著者が創作したものを私が要約したものだ。「釣り文章」の典型的な例だという。ここには「釣り」のための餌がてんこ盛りだそうだ。

育児協力をしない夫=「男性批判」
しかもパチンコに行っている=「ギャンブル叩き」
勝手口はちきんと施錠しましょう=「防犯意識の啓蒙」
カレーを盗むとは!しかも鍋ごと!=「読者へのサプライズ」
そして「隣の国から嫁いできた」犯人=「人種差別的な内容」

なるほど。ここには道徳や常識を盾に、自らの「正義」を振りかざすことができるキーワードと対立軸が周到に用意されている。さぞかしスレッドは盛り上がったことだろう。

なお、本書には2ちゃんねるに投稿された文章を著者が整理した「読み手が議論を始めたがる」キーワードの一覧が掲載されている。

0 comments:

コメントを投稿