アカデミー賞10部門にエントリーされた映画『アメリカン・ハッスル』は、CGI(コンピュータ・ジェネレイテッド・イメージリー)やスペシャルエフェクトを代表する作品には一見見えません。無重力状態を浮遊する宇宙飛行士もいなければ隕石によって破壊される宇宙望遠鏡も登場しません。なので、実際にどれほどのCGIが駆使されていたのかを知ると、きっとあなたは驚くはずです。
しかもこの映画の舞台は1970年代後半から80年代のニューヨーク近辺なのです。その頃から今までの35年間で、このエリアの景色は完全に変貌しているのです。
「この映画では600以上の視覚効果が使われています。その多くは映り込んでいたものを消していく作業でした」
2013年のボストンの風景を35年前のニューヨークへと変身させ、ウスターにあるセットをニューヨークの有名なディスコだった「スタジオ54」へと変換し、ニューヨークのプラザホテルに組まれた目立ちすぎる足場と最近の車を街頭から消し去った『アメリカン・ハッスル』視覚効果の責任者であり、ボストンのスペシャルエフェクト会社Zero vfxの責任者でもあるショーン・デヴロー氏は語っています。
眼鏡レンズへの映り込み問題を解決
中でも最も困難を極めた作業は、反射して映り込んだ絵を消していく作業だったそうです。主演のクリスチャン・ベールがかけている大きな眼鏡には、カメラや監督であるデヴィッド・O・ラッセルや他のキャストの姿が映り込んでいました(役に立つ情報なのか分かりませんが、デヴロー氏によるとベールの胴回りの大きさはCGIではなく本物だったそうです。彼はこの役の為におよそ27キロほどの増量を行ったのだとか)。
デヴロー氏および彼のチームがこの映画の為に使用したFXツールは、イメージのレンダリング用にZync、エフェクト作成から最終納品物までのワークフローの管理に使うShotgun Softwareなどでした。そして、多くの裏方演算およびストレージはAmazonウェブサービスEC2演算とS3ストレージによるものだったそうです。
CGIへの依存率を高めつつある映画製作の現場での公共のクラウドサービスの使い方は、理想的な使い方のひとつだと言えます。HDデジタル動画のレンダリングを行うためにFX専門家はある日には千台ものサーバを必要とし、その反面、次の日には全くサーバを必要としない、ということもよくあることです。…
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