2014年5月26日月曜日

クルマのIT化はビジネスチャンス――排出量ゼロ、重大事故ゼロを目指す

 「ビジネスチャンスとしての自動車IT化の加速」をテーマに、通算第64回目となる「第42回 インタラクティブミーティング」が開催された。冒頭、早稲田大学 大学院 教授の根来龍之氏が「レイヤー戦略論からみた自動車のIT化がもたらすもの」をテーマに講演。続いて日産自動車 総合研究所 モビリティ・サービス研究所 所長の三田村健氏が登壇し、「自動車の電動化と知能化が目指すもの」をテーマに講演した。

●国内外の主要自動車メーカーがiPhone対応車を発表

 「"レイヤー戦略論"は新しい概念であり、耳慣れない言葉かもしれない」と根来氏は言う。今回のテーマでもある「自動車のIT化」は、幅広いレイヤー戦略論の中の1つである。自動車のIT化の一例としては、カーナビやスマートフォンで駐車場やレストランの空き状況を確認したり、予約したりするものがあり、すでに実用化されている。

 例えば2014年3月に、国内外の主要自動車メーカーがiPhone対応車を発表。音声により電話や音楽、メッセージなどの操作を可能にする「カープレイ」という機能を公開した。これによりカーナビ代わりに使うレベルだったスマートフォンに、今後は車載用機能や各種サービスが付加されることになる。

 また現在では、自動車の完全自動運転がテスト段階にあり、数年先には実現される見込であるがこれも自動車のIT化である。カーナビやスマートフォンをつなぐだけがクルマのIT化ではなく、自動車のデータをネットワーク経由で収集し、いかに活用するかが重要。自動車は、ビッグデータの固まりといえる。

 根来氏は、「将来的には自動車を制御するための共通OSを提供することで、複数の自動車メーカーで、自動運転、渋滞や経路のナビ、駐車場案内、走行情報、負荷情報、ステータス情報などを活用することを目指している。これが自動車のIT化の最大のポイントである」と話している。

●自動車のレイヤー戦略の勝者は?

 バリューチェーン構造で産業を見ることはこれからも有効である。バリューチェーン構造は、最終消費者が最終ステージの事業者と取引することになる。例えばクルマを買う人は、自動車販売店と取引するが、部品メーカーと直接的に取引することはない。

 一方、レイヤー構造では、最終消費者はすべてのレイヤーの事業者と取引できる。例えば電子書籍は、最終消費者はネットワークやハードウェアを自由に選択してサービスを利用できる。

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