2014年8月15日金曜日

儲けを追わずに儲けを出す秘密【2】 -対談:LINE社長 森川亮×田原総一朗

4億人──。日本発のスマートフォンアプリを使うユーザー数だ。今や台湾、タイ、インドネシア、スペインなど、世界に広がっている。支持されたきっかけは、文字では伝わりにくい様々な感情をイラスト化したスタンプにある。日本を代表するITサービスへ成長したLINEは、いかに誕生したのか。
■会議なし、仕様書もなし

【田原】資料を読んでいておもしろいと思ったのは、森川さんの経営の考え方です。経営は野球ではなくサッカーだとおっしゃる。野球とサッカーは、どこが違うんですか。

【森川】野球は、すごく計画的ですよね。まず打順が決まっていて、自分が何番目に打つのかわかります。ポジションも決まっていて、ピッチャーがキャッチャーをやったりもしません。そのようにフォーマットとかプロセスがきっちり決まっているのは、大企業的な文化だと思います。一方、サッカーは状況に応じてパスするのもシュートするのも自由。場合によってゴールキーパーがシュートを打ってもいい。僕たちのように変化が速い会社は、野球よりサッカーのやり方が合っています。

【田原】あと驚いたのは会議をしないこと。これは本当ですか。会議しないと、何も決まらないでしょう?

【森川】なるべく減らしています。何かを決めるのは、べつにメールとかLINE上でもできるので。いわゆる定例会議はなるべくなくしています。

【田原】仕様書もつくらないそうですね。それで仕事ができるんですか。

【森川】インターネットのビジネスが成熟してくると、人は機能よりデザインや気持ちよさでサービスを選ぶようになるという確信を持っています。なので、アイデアが出たら仕様書をつくるのではなく、まずデザイナーに絵を描いてもらいます。それをいじりながら、「これ、いいよね」とか「こうしたら使いやすいよね」となったところで、初めてエンジニアのほうに渡すというやり方をしています。

【田原】なるほど。それから、事業計画も立てないと聞きました。会議も仕様書も、事業計画もない。むちゃくちゃじゃないですか(笑)。

【森川】いや、事業計画は一応あるんですよ。ただ、つくり手がそれを意識しても意味がないので。

【田原】どういうことですか。

【森川】計画があると、つくり手は計画通りやろうとします。たとえば3カ月の計画が2カ月でできたら、もうちょっと何かやろうという話になるし、逆に本当はもっとかかりそうだったら、何か削ってしまおうとしてしまう。

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