■会議なし、仕様書もなし
【田原】資料を読んでいておもしろいと思ったのは、森川さんの経営の考え方です。経営は野球ではなくサッカーだとおっしゃる。野球とサッカーは、どこが違うんですか。
【森川】野球は、すごく計画的ですよね。まず打順が決まっていて、自分が何番目に打つのかわかります。ポジションも決まっていて、ピッチャーがキャッチャーをやったりもしません。そのようにフォーマットとかプロセスがきっちり決まっているのは、大企業的な文化だと思います。一方、サッカーは状況に応じてパスするのもシュートするのも自由。場合によってゴールキーパーがシュートを打ってもいい。僕たちのように変化が速い会社は、野球よりサッカーのやり方が合っています。
【田原】あと驚いたのは会議をしないこと。これは本当ですか。会議しないと、何も決まらないでしょう?
【森川】なるべく減らしています。何かを決めるのは、べつにメールとかLINE上でもできるので。いわゆる定例会議はなるべくなくしています。
【田原】仕様書もつくらないそうですね。それで仕事ができるんですか。
【森川】インターネットのビジネスが成熟してくると、人は機能よりデザインや気持ちよさでサービスを選ぶようになるという確信を持っています。なので、アイデアが出たら仕様書をつくるのではなく、まずデザイナーに絵を描いてもらいます。それをいじりながら、「これ、いいよね」とか「こうしたら使いやすいよね」となったところで、初めてエンジニアのほうに渡すというやり方をしています。
【田原】なるほど。それから、事業計画も立てないと聞きました。会議も仕様書も、事業計画もない。むちゃくちゃじゃないですか(笑)。
【森川】いや、事業計画は一応あるんですよ。ただ、つくり手がそれを意識しても意味がないので。
【田原】どういうことですか。
【森川】計画があると、つくり手は計画通りやろうとします。たとえば3カ月の計画が2カ月でできたら、もうちょっと何かやろうという話になるし、逆に本当はもっとかかりそうだったら、何か削ってしまおうとしてしまう。…
0 comments:
コメントを投稿