2014年8月13日水曜日

Amazonの新ファイル共有サービスが「Dropbox」にどうしても勝てない理由

 企業向けファイル同期/共有サービスの市場に米Amazon Web Services(以下、Amazon)が投入したサービスの名前は「Amazon Zocalo」(以下、Zocalo)だ。Zocaloは、IT部門による管理統制機能、フィードバック機能、任意のデバイスからデータにアクセスする機能が用意されている共有ストレージサービスだ。ZocaloのリリースによりAmazonは、競合が増加の一途をたどるファイルの同期/共有、企業向けコンテンツ管理/連係、ストレージ関連製品市場における一番新しい参入企業となった。

 米Dropboxの「Dropbox」、米Boxの「Box」、米Googleの「Googleドライブ」は、こぞって企業向け機能の増強を図っている。また、米Microsoftは「OneDrive for Business」を強力に売り込んでいる。米VMwareの「Secure Content Locker」を採用した米AirWatchの「AirWatch」と米Citrix Systemsの「Citrix ShareFile」は規模の大きなモビリティ製品/サービスだ。さらに米Appleは「iCloud Drive」をリリースして、この戦いに最近参入したばかりだ。

 Zocaloでは、管理者に監査ログと共有/ストレージの場所に対する制御権が提供される。また、既存の企業ディレクトリとの統合機能を使用することもできる。ファイルは複数のデバイス間で同期される。そのため、ユーザーはドキュメントに対するフィードバックを依頼して管理することが可能だ。

 だが、Zocaloの暗号化キーを誰が所有するのかという事実はIT部門がZocaloの使用に対する興味を失わせる可能性がある。

 Amazonのゼネラルマネジャー、ノア・アイスナー氏は「Zocaloの暗号化キーはサーバ側に保存され、『Amazon Web Services』(以下、AWS)が暗号化キーを所有する」と述べている。この事実によりZocaloが市場で成功する見込みがなくなる可能性もある。現状では、悪意のあるユーザーが暗号化を解除すれば企業のデータにアクセスできるようになるからだ。

 サーバ側で暗号化が行われるという事実は多くの中小企業にとって問題ないことだろう。だが、コンプライアンス上の理由から、大企業は暗号化キーを保持していなければならない。

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