2014年8月11日月曜日

ソニーの主力スマホ事業、なぜ不調に?新興国戦略が裏目、中国勢の急台頭という誤算

 ソニーの4~6月期連結決算は、ゲーム機や映画の好調と不動産の売却効果もあり、純利益が前年同期比8.6倍の268億円、売上高は5.8%増の1兆8099億円と大幅な増益を記録した。そのソニーが、スマートフォン(スマホ)の14年度販売目標台数を5000万台から4300万台に引き下げると発表したことが、大きな驚きをもたらしている。ソニーのスマホ販売が不調となった要因は、どこにあるのだろうか。●大幅増益も主力スマホが赤字に

 7月31日の同決算発表でソニーは、コンシューマーゲーム機「PS4」の販売や、映画事業が好調であったこと、さらに不動産の売却益などによって、286億円の増益を記録したと発表。不動産売却が業績の牽引要因になったとはいえ、前年同期比で大幅な増益を記録したのは、同社にとって大きなプラス材料であるはずだ。

 にもかかわらず、ソニーは15年3月期の赤字業績予想を据え置くなど、依然として厳しい状況にあることをうかがわせている。その大きな要因は、同社が重点事業として力を入れているスマホの販売不振にある。

「Xperia」ブランドで知られる、子会社ソニーモバイルコミュニケーションズが手掛けるスマホ事業は、今年4月に14年度の販売目標を5000万台に設定していた。だが今期は、そのスマホの販売不振でモバイル事業が27億円の赤字に転落。販売目標も4300万台と大幅に下方修正するなど、苦戦している様子をうかがわせる。

 昨年のスマホ売り上げ台数が3910万台であったことを考えると、4300万台に下げたといっても、販売が伸びるとの予測に違いはない。だが当初目標より700万台も下方修正するというのは、大きなインパクトがある出来事だ。しかしなぜソニーは、スマホの出荷台数を大きく読み違えてしまったのだろうか。

●新興国に向けた拡販戦略が裏目に

 下方修正の大きな要因は、ラインアップを急速に拡大させたことにあるようだ。Xperiaシリーズは従来ハイエンドモデルが主体であり、日本や欧州といった先進国を中心に人気を獲得していた。一方で、ミドルクラスのモデルが主体となる中国などの新興国や、Xperiaのブランド力が弱い米国などでは、販売を伸ばせずにいた。

 そこでソニーは、Xperiaの販売拡大をするべく、ミドルクラスのモデルを主体にラインアップを拡大。新興国向けの市場開拓に力を入れることで、販売を急速に拡大させる計画であった。

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