2014年8月12日火曜日

<ストーカー事件>消えるアプリ過信禁物 深刻なネット被害

 ストーカー事件では出会いから加害行為までインターネットが絡むケースが多い。1996年から個人的にネット上のトラブル相談サイトを運営し、被害者の相談に乗ってきたのが、一般財団法人インターネット協会(東京)が運営するインターネット・ホットラインセンターのセンター長の吉川誠司さん(50)だ。被害の実態や被害に遭わないための注意点などを聞いた。【藤沢美由紀

 ネットを使ったストーカー行為は、大まかに言えば3種類。元交際相手などへの復讐(ふくしゅう)や嫌がらせ▽交際や復縁を迫る▽見知らぬ相手が標的−−で、それぞれの目的によって行動も異なる。

 復讐目的で行われる嫌がらせでは、プライベート写真などを流出させる「リベンジポルノ」が深刻だ。撮影後に相手が目の前でデータを削除したとしても後で記録媒体から復元することはできる。「すぐ消すから」と言われても、撮影させてはダメ。画像や動画を送信しても、相手が開封した数秒後に自動的に消えるアプリも人気だが、その短時間内に別のデジタルカメラなどで画面自体を撮影されることはあり得るので過信は禁物だ。

 復讐の一環で、無料通信アプリ「LINE」やSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)のアカウントを乗っ取って悪意のある情報を発信したり、相手になりすまして書き込みをしたりするケースもある。パスワードを使い回ししないなど地道に予防するしかない。中傷や脅迫は削除してもまた投稿されるだろうから、相手が誰か推測できる場合は警察に相談するのが一番だ。

 ネット上には人探しを目的とした掲示板などがあり、例えば「借金を踏み倒された」などと口実をつけて相手の情報を求め、居場所を知ろうとするストーカーもいる。かつての勤務先など相手が周囲に知られたくないであろう情報を書き込むことで嫌がらせをする場合もある。

 交際や復縁を迫る場合には、加害者はSNSで相手の趣味や行動パターンを把握しようとすることが多い。SNSで個人情報を発信している人は多いが、位置情報の発信機能はできるだけ使わない方がいい。また、インストールしてしまうと携帯のGPS(全地球測位システム)情報を抜き取られるアプリもあるので要注意だ。

 見知らぬ相手へのストーカー行為でも、ネットが有効な手段になっている。海外の報告事例では、ウェブカメラを遠隔操作して部屋などを盗撮する目的で、チャットサイトで標的の女性を物色、細工を施したサイトに誘導して相手のウェブカメラを乗っ取ったという加害例もある。

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