早稲田大学 IT戦略研究所主催「第43回 インタラクティブミーティング(通算第66回目)」に、東京大学 政策ビジョン研究センター シニア・リサーチャー 工学博士の小川紘一氏が登場。「オープン&クローズ戦略 日本企業再興の条件」をテーマに講演した。
●日本の製造業が抱える3つの深刻な問題
最近になって、日本の経常収支が赤字になるか黒字を維持できるかということが、新聞やテレビを騒がせている。経常収支とは、貿易収支、サービス収支、所得収支、経常移転収支の総計である。中でも問題なのは、これまで黒字を維持した貿易収支が巨額の赤字に転じたことだ。2012年が約6兆円の赤字であり、2013年が約11兆円の赤字。2014年度にはさらに増えるであろう。
貿易収支の巨額赤字を埋めているのが所得収支である。小川氏は、製造業の多くが海外に生産拠点を持っており、ここで得られた売り上げやロイヤルティが日本に還流して貿易収支の赤字を補っている。それでも貿易収支の赤字増を補いきれない。経常収支が2014年度に赤字になる可能性もあり、最も懸念された財政赤字と経常収支の「双子の赤字」になってしまう、と語る。
注目すべきは、貿易収支で輸出の96%が製造業であること。したがって、製造業の輸出力が強くなれば経常収支が抱える問題を一気に解決できる。しかし日本の製造業には、3つの深刻な問題がある、と小川氏がいう。まず円高。ようやく1ドル100円台に回復したが、これまで長く続いた円高によって多くの生産拠点が海外へ移転し、国内からの輸出が大幅に減少した。海外に移転した生産拠点が日本に戻ることはないので、輸出が大幅に増える可能性も小さい。
第2の問題は、地方から工場が消えて地域経済が崩壊しつつあること。2000年ごろに再来した円高によって、製造拠点が大規模に海外へ移転した。日本からアジア地域に移転した生産拠点は、この15年あまりで4万拠点に上る。この間、1450万人もあった製造業の雇用が1000万人まで減少した。工場の大部分が地方にあるので、生産拠点のアジアへのシフトは特に地方経済を直撃した。働き場所が少なくなった若い人々が地方から都市部へ移りはじめ、地方の人口が急激に減少している。
もし国内に生産拠点を残せるのなら、すなわち国内で生産してもグローバル市場で競争優位を維持できるのなら、地方に安定した雇用が生まれる。将来に希望のモデル雇用があれば、若者が地方に戻り、人口も増えて地方経済が活性化する。…
●日本の製造業が抱える3つの深刻な問題
最近になって、日本の経常収支が赤字になるか黒字を維持できるかということが、新聞やテレビを騒がせている。経常収支とは、貿易収支、サービス収支、所得収支、経常移転収支の総計である。中でも問題なのは、これまで黒字を維持した貿易収支が巨額の赤字に転じたことだ。2012年が約6兆円の赤字であり、2013年が約11兆円の赤字。2014年度にはさらに増えるであろう。
貿易収支の巨額赤字を埋めているのが所得収支である。小川氏は、製造業の多くが海外に生産拠点を持っており、ここで得られた売り上げやロイヤルティが日本に還流して貿易収支の赤字を補っている。それでも貿易収支の赤字増を補いきれない。経常収支が2014年度に赤字になる可能性もあり、最も懸念された財政赤字と経常収支の「双子の赤字」になってしまう、と語る。
注目すべきは、貿易収支で輸出の96%が製造業であること。したがって、製造業の輸出力が強くなれば経常収支が抱える問題を一気に解決できる。しかし日本の製造業には、3つの深刻な問題がある、と小川氏がいう。まず円高。ようやく1ドル100円台に回復したが、これまで長く続いた円高によって多くの生産拠点が海外へ移転し、国内からの輸出が大幅に減少した。海外に移転した生産拠点が日本に戻ることはないので、輸出が大幅に増える可能性も小さい。
第2の問題は、地方から工場が消えて地域経済が崩壊しつつあること。2000年ごろに再来した円高によって、製造拠点が大規模に海外へ移転した。日本からアジア地域に移転した生産拠点は、この15年あまりで4万拠点に上る。この間、1450万人もあった製造業の雇用が1000万人まで減少した。工場の大部分が地方にあるので、生産拠点のアジアへのシフトは特に地方経済を直撃した。働き場所が少なくなった若い人々が地方から都市部へ移りはじめ、地方の人口が急激に減少している。
もし国内に生産拠点を残せるのなら、すなわち国内で生産してもグローバル市場で競争優位を維持できるのなら、地方に安定した雇用が生まれる。将来に希望のモデル雇用があれば、若者が地方に戻り、人口も増えて地方経済が活性化する。…






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