2014年9月18日木曜日

<ソニー>変革急務…赤字拡大、初の無配

 ソニーの業績悪化が止まらない。「VAIO(バイオ)」ブランドのパソコン事業からの撤退やテレビ事業の分社化で電機事業の構造改革を進めてきたが、「成長の柱」と位置づけるスマートフォン(スマホ)が低価格の中国メーカーとの競争激化で販売不振に陥っているためだ。今年度中に電機事業を黒字化する目標は事実上撤回した格好。中核事業の見通しの甘さが露呈した。【高橋直純

 「競争激化に対応するだけのオペレーションができていなかった」。平井一夫社長は17日の記者会見で、業績予想の下方修正に至ったスマホ事業低迷の理由をこう説明した。

 平井社長は2012年4月の社長就任後のインタビューで「韓国サムスン電子、米アップルに次ぐ世界3位のスマートフォンメーカーを目指す」と宣言していた。当初から販売拡大を追い求め、15年3月期も前期比28%増の5000万台を販売する計画だった。

 ところが、14年4〜6月期が終わり、事業年度の3カ月が経過した時点で早くもスマホの販売目標を4300万台に下方修正し、赤字計上を余儀なくされた。

 「中国メーカーの躍進など外部環境の変化が(業績を)見直すきっかけだった」(平井社長)という。先進国市場ではスマホ需要が一巡し、成長が期待できる新興国では、小米科技(シャオミ)や華為技術(ファーウェイ)などの中国勢が1万円以下の低価格スマホで攻勢をかけている。ソニーも日本国内では販売していない2万円前後の製品を投入しているが、中国勢の勢いを止められていない。直近のスマホの世界シェアは3%台で、24%台のサムスン、11%台のアップルだけでなく、6%台のファーウェイにも大きく引き離されている。

 パソコン事業からの撤退とテレビ事業の分社化で、ソニーは「背水の陣」を敷いて経営再建を急いでいるが、柱となるはずのスマホがつまずいたことによる経営への打撃は大きい。

 ソニーは人員削減などの費用を今回の業績予想に織り込んでおらず、業績予想や販売台数はさらに下ぶれする可能性もある。ドイツ証券の中根康夫シニアアナリストは「エレクトロニクス事業の中核であるスマホがうまくいかないと、さらなる構造改革が必要になるかもしれない。平井社長の責任は重く、どこを間違えて、どこをどうすれば立て直せるかという説明が不足している」と指摘している。

 ◇電機以外で収益…映画、金融など

 ソニーの業績下方修正は、平井体制で6回目。市場関係者の間では「もはや恒例行事」との冷めた見方もあり、平井体制に、市場は懐疑的になりつつある。

0 comments:

コメントを投稿