2014年9月2日火曜日

「ゲームで捲土重来」ミクシィ新社長 森田仁基

日本経済は消費税増税の逆風を乗り切り、株価は再び上昇局面に入ったようだ。2020年の東京オリンピックを控え、各社、攻めの経営が目立つ。少子高齢社会のなかで、企業はどこへ向かうのか。新たに経営トップの座についた人物を解剖し、未来への展望を開く。
■大ヒット「モンスト」の名プロデューサー
この1年でミクシィは一変した。営業赤字から黒字に転換。株価は連日、高値を更新している。要因はスマホ向けのゲームアプリ「モンスターストライク(モンスト)」。2013年10月にサービスを開始し、14年7月には世界累計利用者が1000万人を突破。いまや売り上げの半分以上を稼ぐモンストを手がけたのが森田仁基社長だ。昨年30歳で社長に抜擢された朝倉祐介氏は1年で交代。新体制のミクシィはどこに向かうのか。
――社長就任は想定内か。

【森田】青天の霹靂。ずっと事業畑の人間だったので、事業を伸ばすことしか考えてこなかった。経営会議の場で打診されたが、びっくりしてしまって、誰に言われたかも覚えていない。
――ゲームの専門家なのか。

【森田】僕はゲームばかりを作ってきたわけではない。これまで手がけてきたサービスの共通点はコミュニケーション。どんなサービスをつくれば人と人とのコミュニケーションが活性化するかを考えてきた。「モンスト」は一人で遊ぶより、みんなで集まって遊べるように設計した。友達と一緒に気軽に遊べるという作風が新鮮で、タイミングよく受け入れられたのだと思う。
――「モンスト」のヒットまで、売上高は減り続け、赤字だった。

【森田】永遠に伸び続ける事業はないと思う。だから業績には波があって当たり前だろう。ミクシィはSNSのブームで00年代に伸びたが、少し下降していた。「モンスト」を絶対当ててこの窮地を乗り越えてやる。そぐらいの意気込みがあった。ミクシィには優秀なスタッフがおり、これだけコミュニケーションに特化して考えている会社はほかにない。「モンスト」の成功は、その成果だ。浮かれてはいけないが、心の中では何百回もガッツポーズをしている。
――「モンスト」に次ぐ第2、第3の柱はどう育成するのか。

【森田】「モンスト」にはラッキーパンチの部分もあるが、何より重要なのは地道な努力の積み重ねだ。「モンスト」のスタッフも、それ以前にはいろいろと失敗している。だが、そこに挑戦があれば「ナイストライ」として評価してきた。打席に立たないとヒットは生まれない。

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