2015年12月5日土曜日

電波法違反になる恐れも――日本に上陸したスマホ修理業者「iCracked」の問題点

 「シリコンバレー発」をうたう、スマートフォン修理業者のiCrackedが、12月4日、日本に上陸した。東京・渋谷に第1号店をオープンしたのを皮切りに、2017年3月には47都道府県に、2019年3月には500店舗を目指し、規模を拡大していく方針だ。日本では、光通信とタッグを組んで事業を行っていくという。修理対象となるのは「iPhone 6s Plus」「iPhone 6s」「iPhone 6Plus」「iPhone 6」「iPhone 5s」「iPhone 5c」「iPhone 5」で、iPadやAndroid端末の修理は今後対応する予定。

 12月3日には記者会見も開催されたが、この事実を初めて知った読者も多いだろう。iCrackedの店舗がオープンしたことは、ほとんどのメディアで報じられていないからだ。それはなぜか。ストレートニュースとしての扱いを見送ったある大手メディアの編集者は、「法的な問題が完全にクリアされていない」と理由を明かす。本誌「ITmedia Mobile」も、同様の方針でこのニュースを取り扱っていないことを確認している。

●適法な状態の修理を受けられる「登録修理業者制度」の成り立ち

 では、「法的な問題」とはどのようなものか。ここには、2015年4月に始まった総務省の「登録修理業者制度」が大きく関連してくる。登録修理業者制度とは、スマートフォンをはじめとする携帯電話端末の修理をなりわいにする事業者が、自らを登録する仕組みのこと。制度の対象にはメーカー自身は含まれておらず、「第三者修理」を行う会社や個人事業主が対象となる。いわゆる、街中にあるスマートフォン修理業者が対象の制度だと考えれば、理解しやすいだろう。

 登録が必要なのは、法律に抵触しない形で、修理が行われていることを証明するためだ。一般に販売されているスマートフォンを含めた携帯電話には、技術基準適合証明の「技適マーク」が付与されており、これによってその端末が、電波法に反しない形で電波を発していることを担保している。電気通信事業法に抵触しないためには、技術基準適合認定が必要だ。

 ところが、端末を分解し、修理を行うと、電波が当初の設計通りに出ているのかが分からなくなってしまう。違法に改造を施し、出力を上げたり、周波数を変えたりしたら、試験を行ったときとは条件が変わってしまう。意図的にこうした部分を変更しなくても、電波に影響を与える可能性は否定できない。

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