2018年5月29日火曜日

インタビュー:5─10年後にスポーツ・健康で3分の2稼ぐ=ミクシィ次期社長

[東京 29日 ロイター] - ミクシィ<2121.T>の次期社長に内定している木村弘毅取締役は28日、ロイターのインタビューに応じ、5─10年後にエンターテインメント、スポーツ、ウェルネス(健康)の領域でそれぞれ3分の1の売り上げを目指す方針を明らかにした。現在、同社の収益はスマートフォン向けゲーム「モンスターストライク」(モンスト)を中心としたエンターテインメント事業で9割を稼ぐ「1本足打法」になっているが、スポーツと健康領域を強化し、収益源を広げて経営の安定化を図る。
新たな柱の構築に向け、3─5年で1000億円規模の投資を実施する。木村次期社長は「(クチコミを利用した)バイラルマーケティングで広がる可能性のある領域に対して積極的に投資をしていく。1つはスポーツ、もう1つはウェルネスだ」と語った。
スポーツ領域では、新たなメディアの立ち上げを準備中。具体策は明かさなかったが、「友達や家族と一緒にスポーツを観て盛り上がる、そういう熱量をきちんとマネタイズしていくようなモデルだ」と自信を示した。
ミクシィの2018年3月期の売上高は前年比8.7%減の1890億円。このうちモンストなどのエンターテインメント事業の売上高は同8.7%減の1759億円と9割超を占めており、新たな柱の構築が課題となっている。
主力のモンストもてこ入れを図る。モンストは3月に世界累計利用者数が4500万人に達したが、2013年10月に国内配信を開始してからすでに4年半が経過しており、成長には陰りも見え始めている。
木村次期社長は「モンスターストライクは長い目で見ている。今期は派生タイトルも出す予定で、国民的なIP(知的財産)として育てていく」と述べ、ゲームだけでなく、映画やアニメ、カードゲームなど多面展開することで、IPを強化していく考えを示した。
今期中に派生ゲームを1─2タイトルを投入する予定という。
<ガチャはユーザーが望むサービス>
モンストが採用している有料電子くじ「ガチャ」をめぐっては、利用者の射幸心をあおるといった批判も出ている。過去には他社で高額課金が問題となったケースもあった。
これについて木村次期社長は、福袋などを引き合いに出し「度が過ぎなければこれも1つのサービスだ」と指摘。「お客様が望まれているサービスでもあり、ガチャは悪いものという印象がつかないように、責任を持ってしっかりとやっていく」と今後も提供していく考えを示した。
ミクシィは新たな収益源を確保しようとチケット転売サービスに参入したが、サイトを運営する子会社の元社長が詐欺容疑で書類送検され、サイトは5月末で閉鎖に追い込まれた。木村次期社長は立て直しにあたり、今後は友達や家族で楽しめる「コミュニケーション」を軸に、事業の再構築を図る方針をあらためて示した。 
木村取締役は6月の定時株主総会とその後の取締役会の決議を経て、正式に社長に就任する予定。

(志田義寧 サム・ナッセイ)

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