2018年7月5日木曜日

UX改革はなぜ行き詰まる?SBI証券が体験した3つの「失敗」と克服の道筋

優れた顧客体験の提供は、狭義のマーケティング活動だけでなくビジネスそのものの成否をも左右するものだ。しかし、UXの意義をどれだけ認識できているかについては、企業規模や業種、部門によっても温度差が大きい。「MarkeZine Day 2018 Spring」では、UXデザイナーとしてキャリアを積んできたSBI証券の阿部佳明氏が登壇。UX専任者として入社した後に様々な壁にぶつかりながら、デザインのもたらすビジネス価値向上について社内の理解を得ていったプロセスを率直に語った。

■「バラバラのUIに横串を通す」目論見はなぜ苦戦したか

 SBI証券は、国内株式や海外株式、投資信託、FXをはじめとする非常に多くの金融商品を扱うネット専業の証券会社だ。同社Webサイトは基本的に金融商品ごとに構成されており、次々と新しい金融商品の取り扱いを決める度に、新しいページ群が追加されてきた。

 そのため、ボタンのデザインや金融用語の遣い方に最低限のルールはあるものの、更新を重ねるにつれてページごとの統一感がなくなっていくという、当然の流れではあるものの、一つの大きな課題だったと阿部氏は明らかにする。
株式会社SBI証券 UXデザイン室長 阿部佳明

 統一感のないUIでは顧客体験が低下し、異なる金融商品間でのクロスセルも進みにくい。そこで阿部氏は、UX専任者としてサイト全体のデザインを整えることに着手したという。

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