2018年4月7日土曜日

<楽天・携帯参入>低料金で攻勢 新規の顧客獲得が重要に

 楽天は携帯電話事業への参入が事実上決まったことで、今後、サービス開始に向けた準備を加速させる。主力のネット通販事業でアマゾンとの競争が激化する中、クレジットカード事業が収益をけん引する構図となっており、携帯電話事業もネット通販事業を支える事業に育てる考えだ。

 楽天の2017年12月期連結決算は、クレジットカード「楽天カード」の契約者数増に伴い手数料収入が増えたことで、営業利益は前年同期比90.2%増の1493億円、最終(当期)利益は同約2.9倍の1105億円となった。ただ、主力のネット通販「楽天市場」などの国内電子商取引(EC)事業は、アマゾンとの競争激化の影響もあり、同3.8%減と、成長が鈍化しているのが実態だ。

 その状態を改善するカギが、携帯電話事業だ。携帯電話の利用者にポイントを付与し、利用者がポイントを楽天市場で使うという循環を作ることができるためだ。楽天市場の流通額が増えれば、加盟店手数料やカードの手数料が増えることにもつながる。

 楽天が総務省の審議会に提出した資料で、サービス開始時の料金設定について、現在、NTTドコモの回線を借りて展開する格安携帯電話サービス「楽天モバイル」と同程度の低料金とした。「楽天モバイル」の契約件数は150万件を超えており、その契約者を新サービスに円滑に移行させ、さらに新規の顧客をどれだけ獲得できるかが重要となる。

 ただ、設備投資では、25年までに最大6000億円を投じて通信網を整備する計画だが、すべてを自前とせず、地方などではNTTドコモなど大手3社から回線を借りて展開するとみられる。電波監理審議会では、楽天の開設計画について、「他の既存事業者のネットワークを利用する場合でも、自らネットワークを構築して事業展開を図るという原則に留意すること」との条件を付けた。料金のほか、どれだけつながりやすい通信サービスを提供できるかに注目が集まりそうだ。【袴田貴行加藤明子

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