2013年8月13日火曜日

「土星」観測の好機を逃すな!

アウトドアシーズンを迎える5月。今年は夜空に目を向けるのもよいかもしれない。なんでも2013年の5月は、土星観測における「好機」とのこと。詳しい内容を、国立天文台の小池明夫さんに伺った。

「土星は太陽を中心に、地球の外側を公転している惑星。その周期は30年なのですが、実は4月28日に、太陽、地球、土星の順でほぼ一直線に並ぶ『衡』という状態が起こります。これは、地球と土星の距離がもっとも近くなる位置関係で、それから約2カ月間は、一晩中、夜空に明るく輝く土星を見ることができるようになります」

さらに、5月22・23日は土星観測におけるヤマ場。土星と、その少し西に見える1等星のスピカの間を、満月が通過する様子を楽しめるという。ちなみにこのチャンスを逃すと、次の機会は1年後になるとか。

「土星は、太陽系の中で木星に次ぐ大きさで、明るさも1等星なみのため、都市部でも十分見えます。300~400年前の望遠鏡でも見えていたほどで、小型の望遠鏡で30倍ほどの設定なら、土星の特徴である環をしっかりと確認することができるでしょう」

土星を観測する際は、5月の夜8時頃に南東の空、てんびん座付近を探すとすぐに見つかるとのこと。なお、小型望遠鏡は30倍以上の倍率のものもあるが、倍率を上げ過ぎるとかえって見えにくい。20~30倍ほどで観測するのがベストのようだ。

ちなみに、小池さんいわく、土星観測は一度だけでなく、「何年も継続して見続けるとさらに面白い」とのこと。

「土星の環を地球から見ると、公転周期の関係で、時期ごとに傾きが違います。そのため、何年も観測し続けると、様々な土星の表情が見られるんですね。たとえば今春のように、手前の環が下がっている時期だと、『カッシーニの空隙』とよばれる、環の中の黒い筋を観測できるかもしれません」

「カッシーニの空隙」は、天体ファンが魅了される土星の見どころ。望遠鏡の質も必要ではあるが、観測の際はぜひとも探してほしい。

「さらに、土星は30年の公転周期の間に星座の中をぐるっと一回りします。星座の中を動いていく土星を何年にもわたり見続けるのは、肉眼観測での楽しみ方といえるでしょう。土星を見始めてから30年経って、元の位置に戻ってきた時には、私も感慨深い気持ちになりました」

土星と満月が接近し、天体ショーを繰り広げる5月22・23日。しかし、土星への興味をそこで終わらせず、たまに、星空を旅する土星を探して観測し続けると、30年後には、ひと味違った天体観測の感動を味わえそうだ。

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