2014年4月18日金曜日

「日本の音楽業界は遅れている」――定額制サービス普及を阻む“日本的な事情”、KKBOX創業者に聞く

 「日本の音楽業界の動きは遅れている。もっとスピードアップしてほしい」――こう話すのは、アジア最大級の定額制音楽配信サービス「KKBOX」を手掛ける台湾KKBOXのクリス・リン共同創業者兼CEOだ。

 国際レコード産業連盟(IFPI)が3月に発表したデータによれば、2013年の世界音楽売り上げは前年比3.9%減の約150億ドルだった。前年割れの要因は日本が16.7%減と大きく落ち込んだためで、日本市場を除くと0.1%減とほぼ横ばい。IFPIは「定額制サービスが主要市場の成長を支えている」と報じている。

 世界的には定額制&ストリーミングサービスの売り上げが急伸する一方、日本はこの波から取り残されている。その原因はどこにあり、日本の音楽市場はどこに向かうのか――KDDI子会社として日本で2011年から定額制サービスを提供しているKKBOXのリンCEOに聞いた。

●「プラスチックを売るビジネス」は終わりつつある

――日本は海外諸国と比べ、定額制音楽配信サービスの普及が遅れていると言われる。日本で実際にサービスを提供していても業界の遅れを感じるか。

リンCEO そうですね、遅れていると感じます。日本の音楽業界にはもっとスピードアップしてほしいと思っています。

 日本のレーベルはわれわれのような定額制サービスに対してオープンではありますが、最新のJ-POPコンテンツを提供してくれてはいません。ユーザーが最も望むのは最新コンテンツですから、日本で本格的に定額制サービスが普及するには、レーベルによる最新楽曲のオープン化がカギになるでしょう。

 日本は今でもCDの売り上げがかなりの規模ですし、TSUTAYAなどのCDレンタルビジネスもまだ堅調ですから、レーベルが最新コンテンツを手渡したくないのも理解できます。また、彼らが「定額制サービスのような破壊的なモデルを導入すると、CDの売り上げ低下がさらに加速するのでは」と懸念しているのも分かります。

 しかし私が思うのは、たとえ日本のレーベルがこうした"破壊的なモデル"を導入しなくても、CDの売り上げが落ちていくのは間違いないということです。なので今こそオープン化に踏み切ってほしいと考えています。

――CDの売り上げは落ちる一方で、もう伸びることはないのか。

リンCEO まずCDプレイヤー自体の出荷数がどんどん減っています。また、人々はTSUTAYAなどでCDをレンタルした時、そのCDをただ聞くだけではなくデジタルフォーマットに変換しますよね。

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