2014年7月11日金曜日

VAIO新会社の前途多難 ソニー赤字事業の“余生”

 7月1日、ソニーが赤字のパソコン事業から撤退し、投資ファンドの日本産業パートナーズに事業譲渡したことで再出発する「VAIO株式会社」の設立会見が開かれた。

 数年前には世界出荷台数1000万台を目指したほどのグローバルブランドだが、ビジネスとしては限界に達していた。2013年度の売上高4182億円に対して、営業損益は917億円(事業収束費を含む)と大赤字で、ソニーの家電部門の"お荷物"の一つになっていた。

 その現実を見据えた結果、極小の国内専業パソコンメーカーとして生き残りを図ることを選んだわけだ。

「VAIOの遺伝子を忘れず、人の気持ちに突き刺さる、一点突破の発想でものづくりをしたい」

 会見でそう訴えたのは、過去にVAIO事業部の企画部門などに在籍していた経験がある関取高行新社長。そのポイントは、かつては高価でも飛ぶように売れたVAIOの良さを復活させるため、ユニークで個性的な高級機種に絞った事業の再構築だという。

 新会社はビジネスの規模では約20分の1にまで劇的に縮小することになる。昨年度の年間出荷台数の実績は約560万台だったが、新会社では15年度に30万台超という販売目標を立てる。

 そのため、これまでVAIOの事業部があった長野テック(長野県安曇野市)を本社拠点として開発から生産までの一切を運営。グローバルで約1100人いた社員の人数も減らし、国内240人体制に圧縮した。

「困難がなければ、VAIOは進化しなかった。だから、また、きっと」

 来場者に記念品として配られたパソコンをかたどった名刺ケースには、18年間のVAIOの歴史を彩る名機種の写真と共に、復活に向けた熱いメッセージが書かれたカードさえ入っていた。

国内市場頼みの看板商品

 しかし、現時点で新会社を見る業界内の目は非常に冷ややかだ。

 この日に発表された商品群は、実は昨年度から引き継いだラップトップ型のパソコン3機種から「SONY」のロゴを外した商品。どのような商品がこれから中核になるのかが全く示されなかった。むしろ規模縮小による、部材などの調達コスト上昇について懸念する質問が会場から相次いだのもそのためだ。

 販売ルートについても、これまで力を入れてこなかった法人営業に大きく注力するという。しかし堅牢型パソコンに特化して利益を維持するパナソニックなどと違い、デザイン性や、音楽や映像との連携をうたってきたVAIOの優位性は薄い。

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