2014年8月7日木曜日

ルネサスが再び人員削減、整理統合の先にあるものとは

ルネサスエレクトロニクスが設計・開発部門の組織再編に合わせて5回目となる早期退職優遇制度を実施する。今回の組織再編は既定路線ではあるが、人員削減を加速させることになり停滞感は否めない。市場環境を考えると成長戦略を急ぐ必要がある。

 組織再編に伴い人員削減が加速

 作田久男会長の指揮の下、構造改革を進めているルネサスエレクトロニクスだが、生産部門の整理統合は今年4月に生産部門と生産関係会社を子会社2社に統合したことで一巡した。

 今年度は設計・開発部門の整理統合に乗り出す。具体的には、ルネサスの100%子会社であるルネサスソリューションズ(RSO)、ルネサスシステムデザイン(RSD)、ルネサスエンジニアリングサービス(REG)およびルネサス本体の設計・開発にかかわる機能を8月1日付で再編する。

 この3社とルネサス本体にある、デバイス開発やデバイス応用技術などのハードウエア開発に必要な機能をRSDに集結し、開発効率を高める。また、ソフトウエア開発や事業推進機能をルネサス本体に集結。さらにREGの機能を開発・技術支援に特化させる。RSOはその機能をルネサス本体とRSDに移管させることになり、存在意義がなくなる。再編後の運営については現時点で未定だという。

 ここまでの機能集約なら、ただの組織再編と言えるが、今回ルネサスは同時に早期退職優遇制度を実施する。もともと設計・開発部門のリストラは作田体制2年目の既定路線。しかし早期退職優遇制度を同時に実施することに、ルネサスの尋常ではない状況がうかがえる。

 今回の早期退職者優遇制度は、募集人員は特に定めていないが、応募期間は8月7~21日で、退職日は9月30日付を予定。通常の退職金に特別加算金を加算して支給するほか、希望者には再就職支援サービスを提供するという。

 ルネサスが早期退職優遇制度を実施するのは今年に入って2回目、通算では5回目となる。1回目は2011年3月に実施しており、1年に1回以上のペースで実施していることになる。最初の3回目までで「ルネサスを去りたいと思う層」は既に去ったと思われる。このため、今年2月に実施した4回目からは優遇制度の意味合いが変わってきている。

 4回目は、今年4月の生産部門の組織再編に伴い拠点異動が困難な社員や、組織再編に沿えないと考える社員が対象となった。今回の5回目も設計・開発部門再編に伴い影響を受ける者、具体的には、高崎への異動に応じられない者が対象となる。

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