2015年9月18日金曜日

客と店のできることが融合? 東急ハンズのiPod touch導入記

 「ネットで見たんですけど、この商品あります?」「えーっと……」。来店客の問い合わせ商品を確認しようと、店舗スタッフは駆け足でインターネットができるPCのある場所へ。その間、来店客は待ちぼうけ――こうした"ロスタイム"は時に来店客の購買意欲を削ぐかもしれない。

 生活雑貨を手掛ける東急ハンズは、これまで店舗スタッフの業務端末にハンディーターミナルを利用してきたが、2015年9月までに約2300台のiPod touchによるシステムへ切り替えた。そこではコンシューマデバイスならではメリットを接客に生かしている。

 iPod touchの導入は、東急ハンズの情報システム子会社のハンズラボが担当し、2015年の始めから検証をスタート。5月から9月にかけて全国の店舗スタッフに展開し、本格運用を始めたばかりだ。長谷川秀樹社長は、「ハンディーターミナルでは時代にそぐわないようになってしまいました」と話す。ハンズラボは、東急ハンズのITコマース部門を担当していた長谷川氏を中心に、基幹業務システム内製化などの経験を小売業向けITソリューションとして社外の小売業へ展開するため設立された。

 長谷川氏が「時代にそぐわない」とする理由は2つ。1つは、記事冒頭にあるような接客時における"ロス"を解消することだ。ハンディーターミナルにもWebブラウザは搭載されていたが、古いタイプで、現代のWebサイトをうまく表示できなかったり、表示も遅かったりする。「お客様がスマホで見ている情報と店舗スタッフが業務用端末で見る情報があまりにかけ離れてしまう」(長谷川氏)といい、現在のネット環境に即した端末を採用する必要があった。

 もう1つの理由は、コンシューマー向け製品の採用によるコストダウン。ハンディーターミナルの価格は1台あたり10万円するが、iPod touchではバーコードリーダー付ジャケットを組み合わせても半分以下で済む。堅牢性が求められる屋外業務などハンディーターミナルが活躍するシーンもあるが、同社では店舗内利用が中心であることや、「無償でだれでも使える高機能アプリが充実している」などの観点から、iPod touchを選択したという。

●「お客様と会話するために必要です」

 iPod touchで使う約20種類のアプリは、ハンディーターミナルの時と同様に商品情報の検索や在庫確認などの業務システムに加え、翻訳やコスメ、乗り換え案内など一般でも無料で使えるものを採用しているのが特徴だ。

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