2018年5月29日火曜日

電子版と紙の「読書体験」の違い、米研究者がレポート

米国のアリゾナ大学とタウソン大学の研究者らが、電子書籍と紙の書籍の所有が人々にもたらす、心理的違いについてのレポートを発表した。

「消費者は本のデジタル所有をどうとらえているか」と題された論文が先月、国際ジャーナルの「Electronic Markets」で公開された。そこでは電子書籍がもたらす読書体験が、紙の書籍とどう異なるかが記されていた。

アリゾナ大学の研究者によると、調査に参加した消費者は「紙の書籍はデジタルよりも精神的な結びつきを感じさせ、所有の感覚が得られる」と述べたという。読書好きの人々は電子書籍には"本の匂い"がないことを以前から嘆いていた。

また紙の本は本棚に並べることで、自身のペルソナをそこに投影できる楽しみがあるが、電子書籍からはそのような体験が得られないことも重要な違いだ。

回答者らはまた、電子書籍にはファイルをシェアしたり別のプラットフォームで用いられない制限があることに不満を感じていた。出版社によるDRM(著作権管理の仕組み)の導入が、友人らと作品をシェアをする場合の妨げになっている。

出版業界では長年、口コミの効果がヒットにつながると信じられてきたが、電子書籍のDRMは口コミの効果をなくしてしまう。しかし、出版社側の立場としては無制限なシェアを許すと、売上が減ってしまう。紙の本の場合は、回し読みをされるとしても限度があるが、デジタルの場合は無制限に可能だからだ。

しかし、電子書籍には紙の書籍を上回るメリットもあるとレポートは指摘している。

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