2018年7月29日日曜日

7割導入も、活用は2割以下? 製造業界のIoT化が抱える問題とは

 近年、製造業界では工場のIoT化が活発化している。ところが、それが期待される効果をあげているかというと、別の話のようだ。


 経済産業省が2016年に発表したものづくり白書によると、約7割に及ぶ製造業者が製造プロセスの中で何らかのデータを収集していると答えているにもかかわらず、実際にそれを可視化して活用できていると答えた企業は全体の15%程度に留まっている。しかも、実質的にIoT化が進んでいるのは一部の大企業に限られている印象もある。日本の製造業のIoT化が抱える問題は何だろう。


 工場のIoT化はむしろ、資金やリソースに制約がある中小企業ほど導入するべきだ。工場の生産性向上、品質向上、エネルギー利用効率化、突然の故障による損失リスクの削減など、IoT化することでもたらされる恩恵は計り知れない。


 しかし、導入には資金がいる。大規模な設備投資は中小企業には困難だ。それでも頑張ってIoTを導入し、データを収集したとしても、それを活用できるノウハウも人材もないのが現状だ。そうなると、せっかく集めたデータもただの数字の羅列でしかない。さらに、工場で働く昔ながらの職人的気質の技術者の中には、最近のデジタル化に不満を持つ人も多いだろう。データを上手く活用し、それを現場に反映させないと、自分たちの仕事ぶりを監視する為のシステムだと勘違いされてしまう恐れもある。


 中小企業IoT化を進めていくためには、まずは小規模なところから、設備投資をできるだけ抑えて導入していくことが必要だろう。

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