2014年8月19日火曜日

ITリーダーは「なさざる罪を恥じよ」を肝に銘じる

 1977年4月に当時の大日本インキ化学工業(現、DIC)プラスチック事業部にセールスエンジニアとして配属され、大手飲料・食品メーカー向け製品の販売を行うとともに、現在でも製造販売されているディスポーザブルな密閉容器を企画立案し、日本市場に投入するなどの実績を上げてきたDIC 情報システム本部長の小田滋氏。(当時)

 2001年9月より、次世代情報システム構築を目指す情報システム部門に異動となり、それから13年9カ月に及ぶ情報システム部における経験で培ったユーザー企業におけるITリーダーのあり方、心得などについて話を聞いた。

●苦労は人を大きくする

 ――これまでの経験でもっとも記憶に残っていることをお聞きしたい。

 記憶に残っているのは、「苦労は人を大きくする」という言葉である。ある"シーズンもの"の新商品を担当していたときに、お客さまの技術部門とマーケティング部門、資材部門での駆け引きに直面したことがあった。

 技術部門はより良いものを求め、マーケティング部門はより迅速な市場投入と十分な在庫の確保を求め、資材部門は安定した効率的生産でコスト削減を求めていた。しかしこれは、各部門の要望であって、会社の要求ではない。

 そこで各部門間の調停役を買って出た。このとき苦労はしたが、良い経験も数多くあった。例えば利害対立の関係者での議事録の作成で文書力が向上し、課題整理と調整能力が身についた。最終的に各部門の担当者の信頼を得ることもできた。

 こうした経験はシステム開発の要件定義でできるはずだが、日本人はディスカッションが苦手なためにあまり経験できていない。日本の会議では、やるか、やらないかを決めがちだが、欧米のディスカッションでは、要件をA、B、Cと優先度を決める。

 例えば、Aは「必ずやる」、Bは「Aをやって予算と期間があればやる」、Cは「さらに予算と期間があればやる」といった具合だ。もちろん全てが盛り込めれば大成功だが、評価が分かりやすくなっている。また、やるかやらないかではなく、どうすればやれるかを考えるのがディスカッションである。

 ――会社での最初の経験がその後に大きく影響するという話を聞くが……。

 よく「名SEは必ず名プログラマーなのか」「独り立ちするのに何年かかるか」という話をする。名SEは名プログラマーでなければならないという意見と、そうではないという意見がある。

 SEは管理職なのか、プログラマーとして一流の人がコントロールできるのかという問いの答えを私自身は持っていない。

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